ゆるポタ日記

自転車関係などの雑記帳です。

ランの負荷であるTRIMPを疑似TSSにする

ランも始めたがバイクのTSSはどうしようかということの1つの解決法を示す。パワメ解析ソフトにTSSを手動入力できることが前提となる。

 

ランの負荷を数値で計りたい場合には、心拍ベースの何かになる。その何かとはTRIMPなのだが、TSSと必ずしも近似値ではない(近似値の場合もある)。スイムに関しても心拍が計ることができれば負荷を計上できる。

 

TRIMPはTSSの代わりとしてパーフェクトではないにしても、何も管理しないよりはベターだろう。

 

参考にしたサイトは、TRIMP - Fellrnr.com, Running tipsである。TRIMPとは、TRainingIMPulseの頭文字を取ったものとある。

 

ExponentialのTRIMPが当てはまりが良さそうな気がするので、以下にその計算手順を示す。

 

表1.TRIMP簡易計算(excel

f:id:TofuD:20150624095620p:plain

 

"あなたのTRIMP" = "第1項" × "第2項" × "第3項"となる。

 

表1の赤い行は予め入力しておくところである。これらの数字をセルに入力する。

 

eは数学的に重要な定数らしくYahoo!知恵袋に解説があるが、私は全く理解出来なかった。

 

表1の青い行には自分の数字を入れる。上ではfellrnr.comの数字をそのまま使用している。

 

"第1項" =B6

 →時間(分)

"第2項" =(E6-D6)/(C6-D6)

 →(平均心拍数-安静時心拍数)÷(最大心拍数-安静時心拍数)

"第3項" =E3*D3^(B3*(E6-D6)/(C6-D6))

 →0.64e^y(詳細は上記サイトを参照)

 

結果的に"あなたのTRIMP"が"31.8"(四捨五入で32)になればTRIMP簡易計算のフォーマットは完成である。

 

あとはパワーメーター解析ソフトにTSSとして入力すれば、ATLやCTLがもっともらしい感じになる。

 

ところで、坂を駆け下りたりハイキングで山下りを行う時に、心拍計が頻繁にずり下がるのが気になる場合は、心拍計をブラ化する必要がある。

 

ゴムひもを手芸用品コーナーで買って縫い付けるだけだ。ゴムひもを後ろでクロスさせるとより確実に固定できる。

 

ここでブラ型心拍計の姿を見られた時において、周囲から気持ち悪いと言われる(思われる)ことと確実にTRIMPで数値管理できることのトレードオフがある。しかしこれを読んでいる時点でどちらを選択するかは既に明白だろう。

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GoldenCheetahのPMCにおける計算式

クリティカルパワー(CP)の計算

 

全日本マウンテンサイクリングin乗鞍ヒルクライム偏差値

フルコースは全長20.5km、獲得標高1260m、平均勾配6.1%である。2年連続で荒天のためコースが短くなっているが2015年はどうだろうか。

  

乗鞍岳の天気」てんきとくらす

 

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詳細な偏差値などはページ最下部を参照のこと。

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第30回大会(2015年)の抽選に当たったので、目安を把握することにした。

 

フルコースで行われた直近の大会が第27回(2012年)のため、その年度のデータをもとにしている。データ分析やPWR推計の手法は「Mt.富士ヒルクライムのヒルクライム偏差値」と同じである。

 

表1.乗鞍ヒルクライム偏差値(2012年基準)

偏差値 タイム 推定PWR(60分) 上位からの位置 備考
75 59:45 4.97 1% 富士ヒルゴールド相当
70 1:04:10 4.56 2%  
65 1:09:15 4.16 7% 富士ヒルシルバー相当
60 1:15:10 3.79 16%  
55 1:22:20 3.43 31% 富士ヒルブロンズ相当
50 1:30:55 3.08 50%  
45 1:41:30 2.74 69%  
40 1:54:50 2.42 84%  
35 2:12:20 2.10 93%  
30 2:36:00 1.80 98%  
25 3:10:00 1.51 99%  

出所:筆者作成。J-entryの2012年リザルトのデータに基づく(2015年6月閲覧)。以下同じ。

 

次に完走者のタイムの分布を図1に示す。

 

図1.2012年乗鞍ヒルクライム完走者(男子)のタイム分布

f:id:TofuD:20150623111014p:plain

出所:筆者作成。N=3608

 

60分から10分おきに棒を赤くしている。この年は55分台の選手はいなかったので56分台からになる。160分台以降の選手はひとまとめにしている。

 

90分切りを目標にしている選手が比較的多いのか、88分台、89分台で続々とゴールしている。

 

図2.2012年乗鞍ヒルクライム完走者の推定PWR(60分)の分布

f:id:TofuD:20150626123652p:plain

出所:筆者作成。N=3608

 

3.0W/kgを中心としてきれいに人数が減っているのがわかる。2014年のMt.富士ヒルクライムと比較してみる。

 

図3.乗鞍ヒルクライムと富士ヒルクライムの推定PWR(60分)の比較

f:id:TofuD:20150626123712p:plain

出所:筆者作成。乗鞍のN=3608、富士ヒルのN=5648

 

どちらのヒルクライム大会も出たことはないので実際の雰囲気はわからないが、グラフを見ると富士ヒルの方が明らかに初心者が多いと思われる。乗鞍だと初心者が減っているためか、グラフの山が左寄りになっている。

 

言い換えれば、富士ヒル母集団よりも乗鞍母集団の方が脚力が高い。それは乗鞍の推定PWR(60分)の中央値が3.08W/kg(表2)に対して、富士ヒルのそれは2.78W/kgであることからも確認できる。

 

表2.乗鞍ヒルクライム(2012年)の基本統計量

変数 平均 最小値 中央値 最大値 最頻値 標準偏差
タイム 1:35:27 56:17 1:30:42 3:49:17 1:24:09 22:57
60分PWR(W/kg) 3.10 1.29 3.08 5.35 3.34 0.69

 

ところでエントリーの際に、サイクリング協会に会費を払うと優先的に乗鞍エントリーが可能とあった。J-entryを見ると、抽選に漏れた後で会費を払うから出させてくれ的なことがあると暗に示されていた。

 

そこで会費じゃなくて松本市へのふるさと納税で優先エントリーになったらとふと思った。乗鞍の運営主体の1つである松本市への寄付金はH26年度で約550万とのことである。仮に協会会費枠を500名、ふるさとヒルクラ納税枠を500名とする。乗鞍に出たい人が5000人いるとして、その10%がヒルクラ納税を行うとする。1万円から優先枠を手に入れられ、徴税コストを無視するならば、ヒルクラ納税のみで松本市は約500万の収入を得られる。納付金の納付を行った者が500名を超えた場合、納付額の高い人から優先枠を得られる。みたいなことを松本市を受験する公務員志望の人が面接試験で提言をし、その人が採用になるかどうかは別として、節税メリットもあるヒルクラ納税が可能になればいいのになあ。野沢菜漬けが郵送されるとなお良い。

 

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あざみラインのヒルクライム偏差値

 

 

表3.乗鞍ヒルクライム偏差値詳細(2012年基準)

偏差値 タイム 推定PWR(60分) 備考
80 55:55 5.39 神の領域
79 56:40 5.32  
78 57:25 5.23  
77 58:10 5.14  
76 58:55 5.06  
75 59:45 4.97  
74 60:35 4.88 富士ヒルゴールド相当
73 61:25 4.80  
72 62:20 4.71  
71 63:15 4.63  
70 64:10 4.56  
69 65:05 4.48  
68 66:05 4.39  
67 67:05 4.31  
66 68.10 4.23  
65 69.15 4.16  
64 70:25 4.08 富士ヒルシルバー相当
63 71:30 4.01  
62 72:40 3.93  
61 73:55 3.85  
60 75:10 3.79  
59 76:30 3.72  
58 77:55 3.64  
57 79:20 3.56  
56 80:45 3.49  
55 82:20 3.43  
54 83:55 3.35  
53 85:30 3.29 富士ヒルブロンズ相当
52 87:15 3.21  
51 89:00 3.14  
50 90:55 3.08  
49 92:50 3.00  
48 94:50 2.94  
47 96:55 2.88  
46 99:10 2.80  
45 101:30 2.74  
44 104:00 2.67  
43 106:30 2.61  
42 109:05 2.54  
41 112:00 2.48  
40 114:50 2.42  
39 118:00 2.35  
38 121:20 2.29  
37 124:40 2.22  
36 128:20 2.16  
35 132:20 2.10  
34 136:25 2.04  
33 140:50 1.98  
32 145:30 1.92  
31 150:30 1.86  
30 156:00 1.80  
29 162:00 1.74  
28 168:00 1.68  
27 174:30 1.62  
26 182:00 1.56  
25 190:00 1.51  

 出所:筆者作成

 

Stagesとパワーキャルの比較

乗鞍ヒルクライムの抽選が当たっていたので、ヒルクライムの練習をすることにした。

 

近くの山で一定のペースで登る練習を行い、ついでに昨年同時期との比較を行った。

 

 

表1 10分10本

  パワーキャル (2014.7)Stages (2015.6)
回数 タイム パワー(W) 心拍数 タイム パワー(W) 心拍数
1 11:24 195 145 10:07 219 157
2 10:59 208 151 10:07 221 159
3 10:41 215 154 10:07 216 160
4 10:47 216 154 10:08 223 159
5 10:52 220 156 10:04 222 161
6 11:06 218 157 9:57 225 161
7 10:54 221 157 10:11 221 161
8 09:14 263 172 10:03 226 161
9 11:29 224 159 10:09 222 163
10 10:35 238 163 10:03 226 165

出所:筆者作成

 

私の踏み方に左右差がそれほどないという前提で考えると(Stagesは左クランク測定なので)、パワーキャルのが1割程度大きめにパワーが算出されていたと言える。10本目になると心拍ドリフトの影響で1割どころではない。

 

冬に自転車の練習をサボったため、1年前と比べてフィジカルは大して向上していないのがとても残念。

 

ただしStagesを使うようになってから、ペース配分が上手くできるようになっていることがタイムの安定からは読み取れる。

 

他に昨年との大きな変化はダンシングの有無である。数本登るだけなら全てシッティングでも問題はないが、疲労の分散という観点からダンシングを入れた。

 

ダンシングのフォームはあまり意識したことがなかったため、以下のDVD参考にした。

 

結果、今までのギッタンバッコンしたダンシングからヒラヒラとしたダンシングになり、大げさに言えば別人のようになった。筋肉の負荷の分散という点で確かに効果を感じる。

 

VO2maxブースタープログラムを実施した結果

5分275W → 5分296W(21Wアップ)、

20分227W → 20分238W(11Wアップ)となった。

 

VO2maxブースタープログラムの概要

このプログラムが収められている『短時間効率的サイクリングトレーニング』を入手するためだけにkindleを購入する。

 

以下の概要では、プログラムの設定時間より練習時間が短めだが、これはクールダウンの時間が短い日があることによる。休みは任意で取ったものであり、プログラム内で推奨されているわけではない。

 

条件としては、室内負荷あり3本ローラーで、ブラケット、下ハン、エアロポジションを適当に組み合せながら実施した。時間はウォームアップからクールダウンまでの時間である。着替えやプロテインの時間を含めると、実質的にはプラス15分くらいとなる。

 

8/19 【20分テスト227W

・・・

9/30 【1日目】36分、TSS41、IF0.83、5分テスト275W(169bpm)

10/1 【2日目42分、TSS40、IF0.77 

10/2 【3日目56分、TSS70、IF0.87

10/3 【4日目50分、TSS60、IF0.87

10/4 【5日目43分、TSS31、IF0.76

10/5 休み

10/6 休み

10/7 【6日目60分、TSS75、IF0.87

10/8 休み

10/9 【7日目50分、TSS56、IF0.83

10/10 休み

10/11 【8日目:外】SST→VO2max3本、90分、TSS85、IF0.78

10/12 【9日目:外】約6時間、TSS306、IF0.71、LSD、坂2本、5分走

10/13 休み

10/14 【10日目55分、TSS65、IF0.85

10/15 【11日目30分、TSS29、IF0.77

10/16 休み

10/17 【12日目】55分、TSS72、IF0.86、VO2max50%キープできないところあり

10/18 休み

10/19 【外】約4時間、TSS231、IF0.76、テンポ走、坂2本

10/20 休み

10/21 休み

10/22 【5分テスト30分、TSS40、IF0.91、5分296W(173bpm)

10/23 【13日目】26分、TSS30、IF0.83

10/24 【14日目】60分、TSS83、IF0.9

10/25 休み

10/26 【外】約8時間半、TSS364、IF0.66、坂1本

10/27 休み

10/28 L4: 10分

10/29 【20分テスト】238W

 

VO2maxブースタープログラムを実行した感想

・辛い日と楽な日が交互にあるので続けやすい。比較的飽きないで続けられる。

・プログラムの最中にVO2maxパワーが高まったせいか、徐々に楽になってきた感があったので、7日間分やったら5分パワーを再測定した方がいいかもしれない。

・適正なケイデンスがよくわからなかったので、力の入りやすいケイデンスで回した。

・3分走インターバルはかなり辛いが、レースに出る人には重要な練習だと思われる。

・少し負荷が足りない感覚の日がある。14日連続で行うと程良いかもしれない。

・やや膝に違和感を感じた日があったので、連続で行うのには注意を要する。

・エアロポジションだと加速が遅くなるが、切るようなペダリングをするとパワーが出る。

・大きなペダリングと切るペダリングを混ぜて、辛いときにごまかす術を覚えた。

・坂の追い込みが以前より楽に感じた。

・謎のちぎり合いについていける確率が上がった。

・体重の増減はあまり気にしたことがないのでわからないが、少し脚が太くなったような気がする。

じてトレによるとVO2maxパワーは年次累積効果があまり期待できないので、無意味なパワーアップであった可能性がある。

・L5のパワーが重要となるレースの直前期には、いいプログラムだと思われる。

・このプログラムの根拠となる論文はあると思うのだが参考文献が全くないので、本文の主張に懐疑的になるかもしれない。

・全てがVO2max強度というわけではなく、閾値パワー(FTP付近)のセットもあるので参考になる。

・つなぎの50%VO2maxを維持するのが非常に大変なセットがある。

・おそらく閾値パワーはそれほど向上してない(したとしても数ワット程度)。

・成功率という概念を意識したことがなかったので参考になる。

・今の自分にとってはVO2maxをたまに入れつつ、SSTをじっくり行う方がいいと思った。 その理由の1つに、本文で以下の記述があったからである。

 

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閾値下パワーインターバルを、【閾値パワーを向上させるうえで、いちばん確実な方法】として紹介するのは、単純にインターバルの成功率が高いからです。」

 

閾値パワーを着実に上げていくのに最も確実な方法は、閾値下パワーでのインターバルにいちばん多く取り組みつつ、4種類の方法全てを組み合わせて行うことです。」

 

『短時間効率的サイクリングトレーニング』より抜粋

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ホビーレーサーの剛脚ピラミッド

 

前回の「Mt.富士ヒルクライムのヒルクライム偏差値」でデータ分析を行い、パワーウェイトレシオの分布を示した。出てきたデータから貧脚および剛脚の定義を考えたい。

 

剛脚とは自転車乗りとして身体能力が高いことを表す言葉である。テクニックやメンタルも含めて「あの人は剛脚だ」という言い方があるかもしれないが、ここではフィジカルに焦点を当てる。貧脚とはフィジカルが未開発な自転車乗りということになる。

 

属する集団によって相対的に貧脚にも剛脚にもなりうるが、ホビーレーサーを前提として具体的な数値で考える。そうすると絶対的なパワーを示すFTPや登坂性能を示すPWRが剛脚の指標として浮かんでくる。

 

自転車探検では「成年の男性に関しては、初心者はFTP=200〜230W、中級者はFTP=280〜350Wそして上級者はFTP=400W〜」という記述がある。

 

しかし、体の大きさとFTPの絶対値の大きさは密接に関連しているので、強さの指標としてわかりにくいところがある。PWRが同じ4.0W/kgでも体重50kgではFTP200W、体重100kgならFTP400Wとなり、体格によってまちまちとなる。

 

検索していくうちに、Yahoo!知恵袋の「ロードバイクに関する質問で興味深い問答を発見した。

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Q: ロードバイクに関する質問です。
ブログを拝見していると「剛脚」や「貧脚」といった記事を見かけますが
どのような基準で判断されているのでしょうか?
具体的な数値で回答頂けると幸いです。
宜しくお願い致します。

 

ベストアンサーに選ばれた回答 

A: ホビーレベルならこれでいーんでね?

↑4.9w/kg剛脚
4.5w/kg優脚
4.0w/kg並脚
3.5w/kg低脚
↓3.0w/kg貧脚 

普通の草レースの平均は3.5w/kgぐらいでしょう…。

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妥当な基準のように思えるが、Mt.富士ヒルクライムの分析結果と照らし合わせると、回答者の基準が少し高いように思われる(回答者の置かれている母集団の脚力レベルが相対的に高い)。そこで若干の変更を加え、以下のような剛脚-貧脚仕分けを行った。

 

図1 ホビーレーサーの剛脚ピラミッド

f:id:TofuD:20140828140006p:plain

出所:筆者作成。図中の%は「第11回Mt.富士ヒルクライム(年代別総合男子及び主催者選抜)」の推定PWR(60分)の割合である。

 

PWRはFTPよりは使えるかもしれないが、上図だけを見ると怪しいところが出てくる。例えば、仮に白鵬関の60分FTPが350Wだとする。5秒の値ならもの凄いパワーになるかもしれない。でもPWRは約2.3W/kgとなる。このPWRのみをもって彼は貧脚であると断言することができるだろうか。

 

一方でプロロード選手はおしなべてPWRが5.0W/kg〜であることからすると、PWRは自転車乗りの戦闘力を表すものとして、最もわかりやすい指標ではある。

 

後付けとなるが、Coggan氏のパワトレ本にあるパワープロフィール一覧表の分類と似たものとなった。なお優秀(カテゴリーI)より上はプロレベルとなるので、ホビーレーサーの域を超えてしまう。

 

優秀(カテゴリーI) :4.6〜5.3W/kg     →剛脚

上級(カテゴリーII) :4.0〜4.7W/kg    →優脚

よい(カテゴリーIII) :3.5〜4.2W/kg   →良脚

まずまず(カテゴリーIV) :3.0〜3.7W/kg →並脚

普通(カテゴリーV)    :2.4〜3.2W/kg    →低脚

一般(トレーニングなし):1.9〜2.5W/kg →貧脚

 

さらに先行研究を当たれば、それぞれのカテゴリーで次のレベルに行くためのおおよその練習量(例えばL4で300時間)とかがわかりそうな気がする。なんだか資格試験の合格必要勉強時間みたいになってきたのでここまでとする。

 

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Mt.富士ヒルクライムのヒルクライム偏差値

以前Mt.富士ヒルクライムのコース(距離24km、獲得標高1255m)であるスバルラインを2時間25分(富士山トリプルクライム)で登ったことがあるが、これは偏差値35である。つまり相対的に極めて遅い。

 

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偏差値やタイム等の詳細は、このページの一番下を参照のこと。

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以下の図表は、第11回Mt.富士ヒルクライム大会の男子年代別総合及び主催者選抜クラスのリザルトを整理・分析したものである(オープン参加、DNS、DNFを除く)。

 

図1 タイムの分布

f:id:TofuD:20140828110723p:plain

 出所:筆者作成。データは「第11回Mt.富士ヒルクライムHP」より入手(2014年8月閲覧、以下同じ) 。基本統計量は文末(1)に記載。

 

タイム(分)はOO分以上OO分未満となる。サンプル数は5648である。なお、レース開始直後の渋滞、ドラフティングの有無、脇腹痛でペースダウン、ママチャリで最後尾から捲る等のことはリザルトからは読み取れないので無視する。

 

ブロンズの目安となる90分から、プラスマイナス10分の範囲に比較的多くの参加者が集中している。80分以上100分未満の参加者は2088人であり、完走した人の約37%を占めている。次にタイムからの偏差値を表にまとめる。

 

表1 Mt.富士ヒルクライム偏差値

偏差値 タイム 上位からの位置 備考
75 1:05:47 1% ゴールド 1:05:00
70 1:10:41 2%  
65 1:16:28 7% シルバー 1:15:00
60 1:23:14 16%  
55 1:31:19 31% ブロンズ 1:30:00
50 1:41:11 50%  
45 1:53:23 69%  
40 2:08:48 84%  
35 2:29:13 93%  
30 2:57:07 98%  
25 3:38:11 99%  

出所:筆者作成

 

ゴールドは上位1%以内、シルバーは上位約6%以内、ブロンズは上位約30%以内となる。特にシルバーからはかなりハードルが高くなると思われる。

 

これだけでは面白くないので、富士ヒル完走者のパワーウェイトレシオを推計した。

 

図2 Mt.富士ヒルクライム参加者の推定PWR(60分)分布

f:id:TofuD:20140828110732p:plain

 出所:筆者作成(推計方法は文末(2)に記載)

 

グラフ上では少ししか見えないが、5.2-5.4W/kgが11人、5.0-5.2W/kgが13人、4.8-5.0W/kgが6人となっている。 この辺がホビーレーサーとしてのフィジカルの限界なのだろう。ポテンシャルで5.5W/kg以上が期待できる若い人はプロを目指してもいいのではないか。

 

このPWRの推計が実態と大きくかけ離れていないとするならば、2.6W/kg以上2.8W/kg未満の層が一番多いのは意外であった。また3.0W/kg以上の人が全体の約42%しかいなく、思ったより少ない印象を受ける。4.0W/kg以上となると全体の6.4%まで絞られる。シルバーレベルにまでフィジカルを開発するのは一筋縄ではいかないなと感じる。次にタイムと60分PWRの関係を表2に示す。

 

表2 タイムと推定PWR(60分)の関係 

偏差値 タイム 推定PWR
75 1:05:47 4.8
70 1:10:41 4.3
65 1:16:28 3.9
60 1:23:14 3.5
55 1:31:19 3.1
50 1:41:11 2.8
45 1:53:23 2.4
40 2:08:48 2.1
35 2:29:13 1.8
30 2:57:07 1.5
25 3:38:11 1.2

出所:筆者作成

 

それぞれのカラーを手に入れるために、ゴールドは5.0W/kg近く、シルバーは4.0W/kg以上、ブロンズは少なくとも3.0W/kgが必要と考えられる。

 

ヤビツタイムの2倍が富士ヒルのタイムになると言われているが、計算上どうだろうか。

 

表3 ヤビツとMt.富士ヒルクライムのタイム換算表

推定PWR ヤビツタイム 富士ヒルタイム
5.0 31:20 1:03:25
4.5 34:00 1:09:00
4.0 37:30 1:15:50
3.5 41:55 1:24:40
3.0 48:00 1:37:20
2.5 57:00 1:55:30
2.0 1:10:30 2:24:00

出所:筆者作成。「ヤビツ峠のヒルクライム偏差値」のデータよりPWR(60分)を推定している。

 

ヤビツ峠(名古木スタート)は距離11.7km、獲得標高659mなのに対し、富士ヒルは距離24km、獲得標高1255mとおおむね2倍となっている。タイムも約2倍となった。ブロンズを取るためにはヤビツ峠45分がラインとなるだろう。

 

次のエントリでは、得られた結果から貧脚および剛脚の定義を考える。

 → 「ホビーレーサーの剛脚ピラミッド

 

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ヤビツ峠のヒルクライム偏差値

全日本マウンテンサイクリングin乗鞍のマウンテンサイクリング偏差値

あざみラインのヒルクライム偏差値

  

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(1)基本統計量

変数 平均 最小値 中央値 最大値 最頻値 標準偏差
タイム 1:46:24 1:01:30 1:41:24 4:17:06 1:27:48 25:30
60分PWR(W/kg) 2.90 1.18 2.87 5.25 3.36 0.68

平均パワーとはレース時間中のパワーである。タイムの算出にあたっては、平均時速の小数点第2位を切り捨てた数値が基になっている。そのため若干の誤差が生じている。

 

(2)PWRの推計方法は「ヒルクライム計算」というサイトで、参加者全員を体重を63kg、機材等を9kgとみなし、タイムからPWRを求める。ここで算出されたものから60分PWRとなるように補正をかけた。

 

60分FTPが時間の経過とともにどのくらい逓減していくかという先行研究を見つけられなかったので、1時間につき60分FTPが5%ずつ減少するという仮定を用いた。例えば、完走タイムが1時間30分の人は、レース時間でのPWRから2.5%ほど上乗せした数値が60分PWRとなっている。

 

ちなみにじてトレにはCP180分がCP60分の92.5%という記述があったので参考にしている。以上のように2重3重にズレが生じているかもしれない、極めてラフな推計ではある。

 

 

表3 富士ヒル偏差値詳細(2014年基準)

偏差値 タイム 推定PWR(60分) 備考
80 61:30 5.23 上位0.14%程度
79 62:18 5.14  
78 63:12 5.04  
77 64.00 4.95  
76 64:48 4.86 ゴールド65分
75 65:48 4.79  
74 66:42 4.69  
73 67:42 4.60  
72 68:36 4.52  
71 69:42 4.43  
70 70:42 4.36  
69 71:48 4.28  
68 72:54 4.19  
67 74:00 4.11  
66 75.12 4.03 シルバー75分
65 76.24 3.96  
64 77:48 3.87  
63 79:06 3.79  
62 80:24 3.73  
61 81:48 3.65  
60 83.12 3.58  
59 84:42 3.50  
58 86:24 3.42  
57 88:00 3.35  
56 89:36 3.28 ブロンズ90分
55 91:18 3.21  
54 93:06 3.14  
53 94.54 3.07  
52 97:00 3.00  
51 99:06 2.93  
50 101:12 2.88  
49 103:24 2.81  
48 105:36 2.75  
47 108:06 2.68  
46 110:48 2.61  
45 113:24 2.55  
44 116:06 2.49  
43 119:00 2.41  
42 122:00 2.35  
41 125:12 2.29  
40 128:48 2.22  
39 132:30 2.17  
38 136:12 2.12  
37 140:12 2.05  
36 144:24 1.99  
35 149:12 1.94  
34 154:18 1.87  
33 159:30 1.81  
32 164:54 1.75  
31 170:48 1.70  
30 177:18 1.64  
29 184:36 1.58  
28 192:00 1.53 制限時間195分
27 200:00 1.47  
26 208:42 1.41  
25 218:12 1.37  

 出所:筆者作成

 

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Stages Power購入

パワーキャルからStages Powerに乗り換えるまでさほど時間はかからなかったことを前回のエントリに記した。→「パワーキャルと心拍数ドリフト

 

パワーメーターの1つであるStages Powerの購入にあたり情報収集をしたところ、DC Rainmaker氏が「Stages Power Meter In-Depth Review Update(2013年6月)」で長所と短所を次のように指摘している。

 

長所

・  かなり安価

・  取り付け簡単

・  クランクの互換性に優れる

・  ケイデンス計測での加速度センサーの出来良し

・  ユーザーによるCR2032の電池交換可

・  自動で温度補正あり

・  軽い(20g)

 

短所

・  単に左足のパワーが2倍される計測方法である

・  左右の力配分差がパワー全体にかなり影響する恐れ(DC氏にはみられず)

・  エンドユーザー向けの校正サービスなし(上級者向け)

・  ロトールやカーボンクランクでは使えない

 

長所(あるいは短所)に付け加えることがあるとするなら、目立たない、になるだろうか。

 

DC氏のレビューによると、初期型より温度補正が改善されて良くなっているらしい。電池入れのフタから水が侵入する可能性が指摘されているので、赤いOリングを軽くグリスアップする。ショップで左クランクの交換をお願いして、ものの数分で取り付け完了。キャリブレーションもいたって簡単で、6時の方向に左クランクを向けて、ガーミンの校正ボタンを押して数秒でOKが出る。

 

アップデータされているファームウェアiPhone経由でStages Powerに落とせるので、更新してみる。Stages Powerアプリをインストールし、数分で更新完了。

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実走すると、加速で一瞬200-300Wになり、軽く回している時に100Wを切るので、校正は大丈夫だろう。パワーキャルみたいに500Wになったり、数値があっちこっち変動したりすることがあまりない。調子に乗って坂で踏むと300Wにはなる。新しいオモチャを手に入れた子供がするような行動を一通り行った。

 

出力に応じたパワーが出されて、数値がカッチリとしたものになった感覚がある。ローラーにて一定負荷で回すとやはり出力は安定したものになり、数値がより信頼のおけるものになった。

 

Stages PowerでFTPを測定したところ、負荷有りローラー台20分で225W (×0.95=213W) 5分全力で263Wと出た。パワーキャルより10W〜20W低く出るようだ。→「Stagesとパワーキャルの比較