ゆるポタ日記

自転車関係などの雑記帳です。

クリティカルパワー(CP)の計算

GoldenCheetahを使っていてCPやAWCの意味が気になったので整理する。

 

『パワー・トレーニング・バイブル』によると、運動強度と時間に関する理論にクリティカル・パワーというものがあるとのこと。1960年頃に発表されたオリジナルの方程式は以下になる。

 

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t = AWC/(P-CP)

 

t:疲労困憊するまでの時間、P:現在のパワー、CP:仕事量の漸近線、AWC:この式における比例定数 p.73

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引用終わり。単位として、tは秒数、PとCPはワット数、AWC(Anaerobic Work Capacity:無酸素作業容量)はJ(ジュール)である。

 

意味的にはPを平均パワーに置き換えてもよいだろう。GoldenCheetahではCPとAWCは自動的に算出されてくる。そうすると、ある時間において、維持できる限界の出力でペーシングしたい時のパワーを求められる。

 

t = AWC/(P-CP)

 

このオリジナルの方程式をPについて解くとこうなる。

 

P = AWC/t + CP

 

N=1だが実際の当てはまりはどうだろうか。GoldenCheetahによれば、直近28日のCPは213W、AWCは28kJ(28,000J)と出ているので所与の値として扱う。

f:id:TofuD:20150713152056p:plain

AWCの計算根拠はよくわからない。AWCを経験則から考えると、ごく初期のサイクリングでありがちな、実力以上に勢いよく走って失速するまでに使ったエネルギーだろうか。レース的に言えば、マッチの本数と大いに関連しているような気がする。5分で燃え尽きるのか、20分で燃え尽きるのか、それが問題だ。 

 

AWCは使い切ったその日には再生不可能と言われている。が、感覚的には脚が空っぽになった後でも、休憩すればマッチが数本復活している気がする。それは本当の意味では使い切ってないのかもしれないけど。

 

以下の実測値には、5分と20分のローラー台(AP)とそれ以外の坂の実走(NP)が混ざっているが、同列に扱って比較してみる。

 

表1.パワーの実測値と推計値の比較

時間 Stages実測値(1) 方程式から求めた値(2) (2)-(1)
44:14 222W 224W +2W
20:00 235W 236W +1W
8:11 284W 270W -14W
5:00 302W 306W +4W
1:00 452W 680W +228W

出所:筆者作成

 

5分〜44分は実測値とそれほど変わりない。しかし1分走は脚が売り切れに近い状態の値であったことを考慮にいれても、かなりの誤差が発生している。この値のズレは、ごく短時間のパワーにおいてAWCを過大評価してしまう方程式の性質や、私自身の脚質に依存するところが大きいと思われる。

 

無酸素運動容量の全てを1分で使い切るほどの筋肉はないとも言える。ちなみに計算上の5秒の値は5813Wである。これは脚がもげる。

 

なお60分以上のパワーは、『サイクリスト・トレーニング・バイブル』によると、以下の簡易的な計算で求められる。

 

30分CP×95% = 60分CP

60分CP×97.5% = 90分CP

90分CP×95% = 180分CP

 

参考文献

関連記事

GoldenCheetahのPMCにおける計算式

ランの負荷であるTRIMPを疑似TSSにする

 

あざみラインのヒルクライム偏差値(あるいは実業団選手の脚力の目安)

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全長11.4km、標高差1200m、平均勾配10%という日本屈指の激坂である。私はまともに登れたためしがない。砂の富士山を作っていたら、翌日にハムストリングが酷い筋肉痛になった。

 

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あざみライン偏差値詳細は当該ページの一番下を参照のこと。

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馬返し後の押し歩きやグレーチングでの落車は想定できるが、今までと同じくリザルトだけをみていく。

 

表1.あざみヒルクライム偏差値(2015年基準)

偏差値 タイム 推定PWR(60分) 上位からの位置 備考
75 44:20 5.50 1%  
70 46:55 5.17 2%  
65 49:55 4.85 7% 富士ヒルゴールド相当
60 53:20 4.53 16%  
55 57:10 4.21 31%  
50 61:40 3.91 50% 富士ヒルシルバーやや未達
45 66:50 3.61 69%  
40 73:00 3.31 84% 富士ヒルブロンズ相当
35 80:30 3.00 93%  
30 89:45 2.70 98%  
25 91:10 2.40 99%  

出所:筆者作成。富士山ヒルクライムのE1、E2、E3クラスタおよび富士山国際ヒルクライムのエキスパートと男子(以下、一般男子)のリザルトに基づく(2015年6月閲覧)。N=644

 

図1.E1、E2、E3および一般男子のタイム分布

f:id:TofuD:20150626204240p:plain

 出所:筆者作成。91分台以降は省略。E1、E2、E3および一般男子。N=644

 

個別にみるとアマチュア最速は45分50秒である。また60歳代以降で56分台という凄まじい記録がある。上の集計データには含まれてはないが、MTBでの最速は1時間1分台とこれまた凄い。

 

図2.あざみヒルクライム推定PWR(60分)の分布

f:id:TofuD:20150626204635p:plain

出所:筆者作成。E1、E2、E3および一般男子。推計方法は「Mt.富士ヒルクライムのヒルクライム偏差値」等と同じ。N=644

 

実業団も含めてのデータではあるが、平均値が4.0W/kg付近と他の大規模なヒルクライム大会と比べて母集団のPWRが著しく高い。データ上からも初心者お断りの大会であることがよくわかる。

 

図3.P1のタイム分布

f:id:TofuD:20150626210939p:plain

 出所:筆者作成。N=76

 

タイムのまとまり具合はさすがプロである(若干アマもいるが)。P1の最速はホセ・ビセンテ選手の41分34秒である。ヤビツ換算(名古木)だと約27分45秒と推定され、異次元の速さである。27分だと普通の人は菜の花台すら通過していない。

 

図4.P1の推定PWR(60分)の分布

f:id:TofuD:20150626212048p:plain

出所:筆者作成。推計方法は「Mt.富士ヒルクライムヒルクライム偏差値」等と同じ。N=76

 

図5 プロとアマの推定PWR(60分)の比較

f:id:TofuD:20150629131124p:plain

 出所:筆者作成。N=720(P1=76、E1=70、E2=90、E3=149、一般男子=335)

 

60分のPWRのみをみると、プロを上回る登坂能力を持つアマチュアが一定数いる。ただし、アマチュアはクライマー寄りの選手が多い可能性と、プロはクライマーからスプリンターまで様々な脚質を持つ選手が参戦している可能性があるので、その辺を差し引いて見る必要がある。

 

なお、PWRの数値はあくまで登坂能力に限定されたもので、ヒルクライム以外のレースで重要となる1〜5分のパワーや繰り返し能力と必ずしも関連しない。こうした短時間のパワー等は実際に現場で一定区間のタイムを計るか、映像から推定するしかないだろう。

 

表2.富士山ヒルクライム大会(2015年)の推定PWR(60分)の基本統計量

カテゴリ 平均 最小値 中央値 最大値 標準偏差
P1 4.92 3.79 4.87 5.89 0.41
E1 4.52 3.24 4.55 5.24 0.42
E2 4.15 3.02 4.14 5.30 0.45
E3 4.05 2.47 4.11 5.21 0.49
一般男子 3.66 2.23 3.70 5.30 0.60

 出所:筆者作成

 

ところでプロがアマと同じ日に時刻をずらして同じコースを走るというのは、自転車大会の運営をよく知らない者からすると不思議である。野球でいうなら、東京ドームで巨人阪神戦の前に、社会人野球や高校野球が行われるようなものである。

 

私の理解がいろいろと不足しているのかもしれないが、お金を貰って走る人とお金を払ってまで走りたい人が、同じような扱われ方でレースに参加しているようにみえる。公道レースという競技の特性上、観客からお金を取るのは極めて難しい。率直な疑問として、プロチームの収入源は何だろうというのがある。

 

別の観点でみれば、それほど高くはない費用で、ある程度限定された選手が集まるレースに参加でき、ついでにプロのレースもみられるという良い環境があるとも言える。

 

 

 

表3.あざみラインのヒルクライム偏差値詳細(2015年基準)

偏差値 タイム 推定PWR(60分) 備考
75 44:20 5.50 これ以上のP1は8名
74 44:50 5.44  
73 45:20 5.37  
72 45:50 5.30 P1以外での最速(2015年)
71 46:25 5.24  
70 46:55 5.17  
69 47:30 5.10  
68 48:05 5.04  
67 48:45 4.97  
66 49:20 4.91  
65 49:55 4.85 富士ヒルゴールド相当
64 50:35 4.79  
63 50:15 4.73  
62 51:55 4.66  
61 52:35 4.59  
60 53:20 4.53  
59 54:00 4.47  
58 54:45 4.41  
57 55:35 4.33  
56 56:20 4.27  
55 57:10 4.21  
54 58:10 4.15  
53 58:55 4.09  
52 59:45 4.03 富士ヒルシルバー相当
51 60:40 3.97  
50 61:40 3.91  
49 62:40 3.85  
48 63:40 3.77  
47 64:40 3.71  
46 65:45 3.67  
45 66:50 3.61  
44 68:00 3.55  
43 69:15 3.47  
42 70:25 3.43  
41 71:45 3.37  
40 73:00 3.31  
39 74:30 3.25 富士ヒルブロンズ相当
38 75:55 3.18  
37 77:30 3.11  
36 79:00 3.06  
35 80:30 3.00  
34 82:15 2.94  
33 84:00 2.88  
32 85:50 2.82  
31 87:50 2.76  
30 89:45 2.70  
29 91:50 2.64  
28 94:05 2.58  
27 96:20 2.53  
26 98:40 2.47  
25 91:10 2.40  

 出所:筆者作成。E1、E2、E3および一般男子のリザルトに基づく。

 

ランの負荷であるTRIMPを疑似TSSにする

ランも始めたがバイクのTSSはどうしようかということの1つの解決法を示す。パワメ解析ソフトにTSSを手動入力できることが前提となる。

 

ランの負荷を数値で計りたい場合には、心拍ベースの何かになる。その何かとはTRIMPなのだが、TSSと必ずしも近似値ではない(近似値の場合もある)。スイムに関しても心拍が計ることができれば負荷を計上できる。

 

TRIMPはTSSの代わりとしてパーフェクトではないにしても、何も管理しないよりはベターだろう。

 

参考にしたサイトは、TRIMP - Fellrnr.com, Running tipsである。TRIMPとは、TRainingIMPulseの頭文字を取ったものとある。

 

ExponentialのTRIMPが当てはまりが良さそうな気がするので、以下にその計算手順を示す。

 

表1.TRIMP簡易計算(excel

f:id:TofuD:20150624095620p:plain

 

"あなたのTRIMP" = "第1項" × "第2項" × "第3項"となる。

 

表1の赤い行は予め入力しておくところである。これらの数字をセルに入力する。

 

eは数学的に重要な定数らしくYahoo!知恵袋に解説があるが、私は全く理解出来なかった。

 

表1の青い行には自分の数字を入れる。上ではfellrnr.comの数字をそのまま使用している。

 

"第1項" =B6

 →時間(分)

"第2項" =(E6-D6)/(C6-D6)

 →(平均心拍数-安静時心拍数)÷(最大心拍数-安静時心拍数)

"第3項" =E3*D3^(B3*(E6-D6)/(C6-D6))

 →0.64e^y(詳細は上記サイトを参照)

 

結果的に"あなたのTRIMP"が"31.8"(四捨五入で32)になればTRIMP簡易計算のフォーマットは完成である。

 

あとはパワーメーター解析ソフトにTSSとして入力すれば、ATLやCTLがもっともらしい感じになる。

 

ところで、坂を駆け下りたりハイキングで山下りを行う時に、心拍計が頻繁にずり下がるのが気になる場合は、心拍計をブラ化する必要がある。

 

ゴムひもを手芸用品コーナーで買って縫い付けるだけだ。ゴムひもを後ろでクロスさせるとより確実に固定できる。

 

ここでブラ型心拍計の姿を見られた時において、周囲から気持ち悪いと言われる(思われる)ことと確実にTRIMPで数値管理できることのトレードオフがある。しかしこれを読んでいる時点でどちらを選択するかは既に明白だろう。

関連記事

GoldenCheetahのPMCにおける計算式

クリティカルパワー(CP)の計算

 

全日本マウンテンサイクリングin乗鞍ヒルクライム偏差値

フルコースは全長20.5km、獲得標高1260m、平均勾配6.1%である。2年連続で荒天のためコースが短くなっているが2015年はどうだろうか。

  

乗鞍岳の天気」てんきとくらす

 

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詳細な偏差値などはページ最下部を参照のこと。

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第30回大会(2015年)の抽選に当たったので、目安を把握することにした。

 

フルコースで行われた直近の大会が第27回(2012年)のため、その年度のデータをもとにしている。データ分析やPWR推計の手法は「Mt.富士ヒルクライムのヒルクライム偏差値」と同じである。

 

表1.乗鞍ヒルクライム偏差値(2012年基準)

偏差値 タイム 推定PWR(60分) 上位からの位置 備考
75 59:45 4.97 1% 富士ヒルゴールド相当
70 1:04:10 4.56 2%  
65 1:09:15 4.16 7% 富士ヒルシルバー相当
60 1:15:10 3.79 16%  
55 1:22:20 3.43 31% 富士ヒルブロンズ相当
50 1:30:55 3.08 50%  
45 1:41:30 2.74 69%  
40 1:54:50 2.42 84%  
35 2:12:20 2.10 93%  
30 2:36:00 1.80 98%  
25 3:10:00 1.51 99%  

出所:筆者作成。J-entryの2012年リザルトのデータに基づく(2015年6月閲覧)。以下同じ。

 

次に完走者のタイムの分布を図1に示す。

 

図1.2012年乗鞍ヒルクライム完走者(男子)のタイム分布

f:id:TofuD:20150623111014p:plain

出所:筆者作成。N=3608

 

60分から10分おきに棒を赤くしている。この年は55分台の選手はいなかったので56分台からになる。160分台以降の選手はひとまとめにしている。

 

90分切りを目標にしている選手が比較的多いのか、88分台、89分台で続々とゴールしている。

 

図2.2012年乗鞍ヒルクライム完走者の推定PWR(60分)の分布

f:id:TofuD:20150626123652p:plain

出所:筆者作成。N=3608

 

3.0W/kgを中心としてきれいに人数が減っているのがわかる。2014年のMt.富士ヒルクライムと比較してみる。

 

図3.乗鞍ヒルクライムと富士ヒルクライムの推定PWR(60分)の比較

f:id:TofuD:20150626123712p:plain

出所:筆者作成。乗鞍のN=3608、富士ヒルのN=5648

 

どちらのヒルクライム大会も出たことはないので実際の雰囲気はわからないが、グラフを見ると富士ヒルの方が明らかに初心者が多いと思われる。乗鞍だと初心者が減っているためか、グラフの山が左寄りになっている。

 

言い換えれば、富士ヒル母集団よりも乗鞍母集団の方が脚力が高い。それは乗鞍の推定PWR(60分)の中央値が3.08W/kg(表2)に対して、富士ヒルのそれは2.78W/kgであることからも確認できる。

 

表2.乗鞍ヒルクライム(2012年)の基本統計量

変数 平均 最小値 中央値 最大値 最頻値 標準偏差
タイム 1:35:27 56:17 1:30:42 3:49:17 1:24:09 22:57
60分PWR(W/kg) 3.10 1.29 3.08 5.35 3.34 0.69

 

ところでエントリーの際に、サイクリング協会に会費を払うと優先的に乗鞍エントリーが可能とあった。J-entryを見ると、抽選に漏れた後で会費を払うから出させてくれ的なことがあると暗に示されていた。

 

そこで会費じゃなくて松本市へのふるさと納税で優先エントリーになったらとふと思った。乗鞍の運営主体の1つである松本市への寄付金はH26年度で約550万とのことである。仮に協会会費枠を500名、ふるさとヒルクラ納税枠を500名とする。乗鞍に出たい人が5000人いるとして、その10%がヒルクラ納税を行うとする。1万円から優先枠を手に入れられ、徴税コストを無視するならば、ヒルクラ納税のみで松本市は約500万の収入を得られる。納付金の納付を行った者が500名を超えた場合、納付額の高い人から優先枠を得られる。みたいなことを松本市を受験する公務員志望の人が面接試験で提言をし、その人が採用になるかどうかは別として、節税メリットもあるヒルクラ納税が可能になればいいのになあ。野沢菜漬けが郵送されるとなお良い。

 

関連記事

ヤビツ峠のヒルクライム偏差値

Mt.富士ヒルクライムのヒルクライム偏差値

あざみラインのヒルクライム偏差値

 

 

表3.乗鞍ヒルクライム偏差値詳細(2012年基準)

偏差値 タイム 推定PWR(60分) 備考
80 55:55 5.39 神の領域
79 56:40 5.32  
78 57:25 5.23  
77 58:10 5.14  
76 58:55 5.06  
75 59:45 4.97  
74 60:35 4.88 富士ヒルゴールド相当
73 61:25 4.80  
72 62:20 4.71  
71 63:15 4.63  
70 64:10 4.56  
69 65:05 4.48  
68 66:05 4.39  
67 67:05 4.31  
66 68.10 4.23  
65 69.15 4.16  
64 70:25 4.08 富士ヒルシルバー相当
63 71:30 4.01  
62 72:40 3.93  
61 73:55 3.85  
60 75:10 3.79  
59 76:30 3.72  
58 77:55 3.64  
57 79:20 3.56  
56 80:45 3.49  
55 82:20 3.43  
54 83:55 3.35  
53 85:30 3.29 富士ヒルブロンズ相当
52 87:15 3.21  
51 89:00 3.14  
50 90:55 3.08  
49 92:50 3.00  
48 94:50 2.94  
47 96:55 2.88  
46 99:10 2.80  
45 101:30 2.74  
44 104:00 2.67  
43 106:30 2.61  
42 109:05 2.54  
41 112:00 2.48  
40 114:50 2.42  
39 118:00 2.35  
38 121:20 2.29  
37 124:40 2.22  
36 128:20 2.16  
35 132:20 2.10  
34 136:25 2.04  
33 140:50 1.98  
32 145:30 1.92  
31 150:30 1.86  
30 156:00 1.80  
29 162:00 1.74  
28 168:00 1.68  
27 174:30 1.62  
26 182:00 1.56  
25 190:00 1.51  

 出所:筆者作成

 

Stagesとパワーキャルの比較

乗鞍ヒルクライムの抽選が当たっていたので、ヒルクライムの練習をすることにした。

 

近くの山で一定のペースで登る練習を行い、ついでに昨年同時期との比較を行った。

 

 

表1 10分10本

  パワーキャル (2014.7)Stages (2015.6)
回数 タイム パワー(W) 心拍数 タイム パワー(W) 心拍数
1 11:24 195 145 10:07 219 157
2 10:59 208 151 10:07 221 159
3 10:41 215 154 10:07 216 160
4 10:47 216 154 10:08 223 159
5 10:52 220 156 10:04 222 161
6 11:06 218 157 9:57 225 161
7 10:54 221 157 10:11 221 161
8 09:14 263 172 10:03 226 161
9 11:29 224 159 10:09 222 163
10 10:35 238 163 10:03 226 165

出所:筆者作成

 

私の踏み方に左右差がそれほどないという前提で考えると(Stagesは左クランク測定なので)、パワーキャルのが1割程度大きめにパワーが算出されていたと言える。10本目になると心拍ドリフトの影響で1割どころではない。

 

冬に自転車の練習をサボったため、1年前と比べてフィジカルは大して向上していないのがとても残念。

 

ただしStagesを使うようになってから、ペース配分が上手くできるようになっていることがタイムの安定からは読み取れる。

 

他に昨年との大きな変化はダンシングの有無である。数本登るだけなら全てシッティングでも問題はないが、疲労の分散という観点からダンシングを入れた。

 

ダンシングのフォームはあまり意識したことがなかったため、以下のDVD参考にした。

 

結果、今までのギッタンバッコンしたダンシングからヒラヒラとしたダンシングになり、大げさに言えば別人のようになった。筋肉の負荷の分散という点で確かに効果を感じる。

 

VO2maxブースタープログラムを実施した結果

5分275W → 5分296W(21Wアップ)、

20分227W → 20分238W(11Wアップ)となった。

 

VO2maxブースタープログラムの概要

このプログラムが収められている『短時間効率的サイクリングトレーニング』を入手するためだけにkindleを購入する。

 

以下の概要では、プログラムの設定時間より練習時間が短めだが、これはクールダウンの時間が短い日があることによる。休みは任意で取ったものであり、プログラム内で推奨されているわけではない。

 

条件としては、室内負荷あり3本ローラーで、ブラケット、下ハン、エアロポジションを適当に組み合せながら実施した。時間はウォームアップからクールダウンまでの時間である。着替えやプロテインの時間を含めると、実質的にはプラス15分くらいとなる。

 

8/19 【20分テスト227W

・・・

9/30 【1日目】36分、TSS41、IF0.83、5分テスト275W(169bpm)

10/1 【2日目42分、TSS40、IF0.77 

10/2 【3日目56分、TSS70、IF0.87

10/3 【4日目50分、TSS60、IF0.87

10/4 【5日目43分、TSS31、IF0.76

10/5 休み

10/6 休み

10/7 【6日目60分、TSS75、IF0.87

10/8 休み

10/9 【7日目50分、TSS56、IF0.83

10/10 休み

10/11 【8日目:外】SST→VO2max3本、90分、TSS85、IF0.78

10/12 【9日目:外】約6時間、TSS306、IF0.71、LSD、坂2本、5分走

10/13 休み

10/14 【10日目55分、TSS65、IF0.85

10/15 【11日目30分、TSS29、IF0.77

10/16 休み

10/17 【12日目】55分、TSS72、IF0.86、VO2max50%キープできないところあり

10/18 休み

10/19 【外】約4時間、TSS231、IF0.76、テンポ走、坂2本

10/20 休み

10/21 休み

10/22 【5分テスト30分、TSS40、IF0.91、5分296W(173bpm)

10/23 【13日目】26分、TSS30、IF0.83

10/24 【14日目】60分、TSS83、IF0.9

10/25 休み

10/26 【外】約8時間半、TSS364、IF0.66、坂1本

10/27 休み

10/28 L4: 10分

10/29 【20分テスト】238W

 

VO2maxブースタープログラムを実行した感想

・辛い日と楽な日が交互にあるので続けやすい。比較的飽きないで続けられる。

・プログラムの最中にVO2maxパワーが高まったせいか、徐々に楽になってきた感があったので、7日間分やったら5分パワーを再測定した方がいいかもしれない。

・適正なケイデンスがよくわからなかったので、力の入りやすいケイデンスで回した。

・3分走インターバルはかなり辛いが、レースに出る人には重要な練習だと思われる。

・少し負荷が足りない感覚の日がある。14日連続で行うと程良いかもしれない。

・やや膝に違和感を感じた日があったので、連続で行うのには注意を要する。

・エアロポジションだと加速が遅くなるが、切るようなペダリングをするとパワーが出る。

・大きなペダリングと切るペダリングを混ぜて、辛いときにごまかす術を覚えた。

・坂の追い込みが以前より楽に感じた。

・謎のちぎり合いについていける確率が上がった。

・体重の増減はあまり気にしたことがないのでわからないが、少し脚が太くなったような気がする。

じてトレによるとVO2maxパワーは年次累積効果があまり期待できないので、無意味なパワーアップであった可能性がある。

・L5のパワーが重要となるレースの直前期には、いいプログラムだと思われる。

・このプログラムの根拠となる論文はあると思うのだが参考文献が全くないので、本文の主張に懐疑的になるかもしれない。

・全てがVO2max強度というわけではなく、閾値パワー(FTP付近)のセットもあるので参考になる。

・つなぎの50%VO2maxを維持するのが非常に大変なセットがある。

・おそらく閾値パワーはそれほど向上してない(したとしても数ワット程度)。

・成功率という概念を意識したことがなかったので参考になる。

・今の自分にとってはVO2maxをたまに入れつつ、SSTをじっくり行う方がいいと思った。 その理由の1つに、本文で以下の記述があったからである。

 

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閾値下パワーインターバルを、【閾値パワーを向上させるうえで、いちばん確実な方法】として紹介するのは、単純にインターバルの成功率が高いからです。」

 

閾値パワーを着実に上げていくのに最も確実な方法は、閾値下パワーでのインターバルにいちばん多く取り組みつつ、4種類の方法全てを組み合わせて行うことです。」

 

『短時間効率的サイクリングトレーニング』より抜粋

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ホビーレーサーの剛脚ピラミッド

 

前回の「Mt.富士ヒルクライムのヒルクライム偏差値」でデータ分析を行い、パワーウェイトレシオの分布を示した。出てきたデータから貧脚および剛脚の定義を考えたい。

 

剛脚とは自転車乗りとして身体能力が高いことを表す言葉である。テクニックやメンタルも含めて「あの人は剛脚だ」という言い方があるかもしれないが、ここではフィジカルに焦点を当てる。貧脚とはフィジカルが未開発な自転車乗りということになる。

 

属する集団によって相対的に貧脚にも剛脚にもなりうるが、ホビーレーサーを前提として具体的な数値で考える。そうすると絶対的なパワーを示すFTPや登坂性能を示すPWRが剛脚の指標として浮かんでくる。

 

自転車探検では「成年の男性に関しては、初心者はFTP=200〜230W、中級者はFTP=280〜350Wそして上級者はFTP=400W〜」という記述がある。

 

しかし、体の大きさとFTPの絶対値の大きさは密接に関連しているので、強さの指標としてわかりにくいところがある。PWRが同じ4.0W/kgでも体重50kgではFTP200W、体重100kgならFTP400Wとなり、体格によってまちまちとなる。

 

検索していくうちに、Yahoo!知恵袋の「ロードバイクに関する質問で興味深い問答を発見した。

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Q: ロードバイクに関する質問です。
ブログを拝見していると「剛脚」や「貧脚」といった記事を見かけますが
どのような基準で判断されているのでしょうか?
具体的な数値で回答頂けると幸いです。
宜しくお願い致します。

 

ベストアンサーに選ばれた回答 

A: ホビーレベルならこれでいーんでね?

↑4.9w/kg剛脚
4.5w/kg優脚
4.0w/kg並脚
3.5w/kg低脚
↓3.0w/kg貧脚 

普通の草レースの平均は3.5w/kgぐらいでしょう…。

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妥当な基準のように思えるが、Mt.富士ヒルクライムの分析結果と照らし合わせると、回答者の基準が少し高いように思われる(回答者の置かれている母集団の脚力レベルが相対的に高い)。そこで若干の変更を加え、以下のような剛脚-貧脚仕分けを行った。

 

図1 ホビーレーサーの剛脚ピラミッド

f:id:TofuD:20140828140006p:plain

出所:筆者作成。図中の%は「第11回Mt.富士ヒルクライム(年代別総合男子及び主催者選抜)」の推定PWR(60分)の割合である。

 

PWRはFTPよりは使えるかもしれないが、上図だけを見ると怪しいところが出てくる。例えば、仮に白鵬関の60分FTPが350Wだとする。5秒の値ならもの凄いパワーになるかもしれない。でもPWRは約2.3W/kgとなる。このPWRのみをもって彼は貧脚であると断言することができるだろうか。

 

一方でプロロード選手はおしなべてPWRが5.0W/kg〜であることからすると、PWRは自転車乗りの戦闘力を表すものとして、最もわかりやすい指標ではある。

 

後付けとなるが、Coggan氏のパワトレ本にあるパワープロフィール一覧表の分類と似たものとなった。なお優秀(カテゴリーI)より上はプロレベルとなるので、ホビーレーサーの域を超えてしまう。

 

優秀(カテゴリーI) :4.6〜5.3W/kg     →剛脚

上級(カテゴリーII) :4.0〜4.7W/kg    →優脚

よい(カテゴリーIII) :3.5〜4.2W/kg   →良脚

まずまず(カテゴリーIV) :3.0〜3.7W/kg →並脚

普通(カテゴリーV)    :2.4〜3.2W/kg    →低脚

一般(トレーニングなし):1.9〜2.5W/kg →貧脚

 

さらに先行研究を当たれば、それぞれのカテゴリーで次のレベルに行くためのおおよその練習量(例えばL4で300時間)とかがわかりそうな気がする。なんだか資格試験の合格必要勉強時間みたいになってきたのでここまでとする。

 

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