Mt.富士ヒルクライムのヒルクライム偏差値
以前Mt.富士ヒルクライムのコース(距離24km、獲得標高1255m)であるスバルラインを2時間25分(富士山トリプルクライム)で登ったことがあるが、これは偏差値35である。つまり相対的に極めて遅い。
**************************************************************
偏差値やタイム等の詳細は、このページの一番下を参照のこと。
**************************************************************
以下の図表は、第11回Mt.富士ヒルクライム大会の男子年代別総合及び主催者選抜クラスのリザルトを整理・分析したものである(オープン参加、DNS、DNFを除く)。
図1 タイムの分布
出所:筆者作成。データは「第11回Mt.富士ヒルクライムHP」より入手(2014年8月閲覧、以下同じ) 。基本統計量は文末(1)に記載。
タイム(分)はOO分以上OO分未満となる。サンプル数は5648である。なお、レース開始直後の渋滞、ドラフティングの有無、脇腹痛でペースダウン、ママチャリで最後尾から捲る等のことはリザルトからは読み取れないので無視する。
ブロンズの目安となる90分から、プラスマイナス10分の範囲に比較的多くの参加者が集中している。80分以上100分未満の参加者は2088人であり、完走した人の約37%を占めている。次にタイムからの偏差値を表にまとめる。
表1 Mt.富士ヒルクライム偏差値
偏差値 | タイム | 上位からの位置 | 備考 |
75 | 1:05:47 | 1% | ゴールド 1:05:00 |
70 | 1:10:41 | 2% | |
65 | 1:16:28 | 7% | シルバー 1:15:00 |
60 | 1:23:14 | 16% | |
55 | 1:31:19 | 31% | ブロンズ 1:30:00 |
50 | 1:41:11 | 50% | |
45 | 1:53:23 | 69% | |
40 | 2:08:48 | 84% | |
35 | 2:29:13 | 93% | |
30 | 2:57:07 | 98% | |
25 | 3:38:11 | 99% |
出所:筆者作成
ゴールドは上位1%以内、シルバーは上位約6%以内、ブロンズは上位約30%以内となる。特にシルバーからはかなりハードルが高くなると思われる。
これだけでは面白くないので、富士ヒル完走者のパワーウェイトレシオを推計した。
図2 Mt.富士ヒルクライム参加者の推定PWR(60分)分布
出所:筆者作成(推計方法は文末(2)に記載)
グラフ上では少ししか見えないが、5.2-5.4W/kgが11人、5.0-5.2W/kgが13人、4.8-5.0W/kgが6人となっている。 この辺がホビーレーサーとしてのフィジカルの限界なのだろう。ポテンシャルで5.5W/kg以上が期待できる若い人はプロを目指してもいいのではないか。
このPWRの推計が実態と大きくかけ離れていないとするならば、2.6W/kg以上2.8W/kg未満の層が一番多いのは意外であった。また3.0W/kg以上の人が全体の約42%しかいなく、思ったより少ない印象を受ける。4.0W/kg以上となると全体の6.4%まで絞られる。シルバーレベルにまでフィジカルを開発するのは一筋縄ではいかないなと感じる。次にタイムと60分PWRの関係を表2に示す。
表2 タイムと推定PWR(60分)の関係
偏差値 | タイム | 推定PWR |
75 | 1:05:47 | 4.8 |
70 | 1:10:41 | 4.3 |
65 | 1:16:28 | 3.9 |
60 | 1:23:14 | 3.5 |
55 | 1:31:19 | 3.1 |
50 | 1:41:11 | 2.8 |
45 | 1:53:23 | 2.4 |
40 | 2:08:48 | 2.1 |
35 | 2:29:13 | 1.8 |
30 | 2:57:07 | 1.5 |
25 | 3:38:11 | 1.2 |
出所:筆者作成
それぞれのカラーを手に入れるために、ゴールドは5.0W/kg近く、シルバーは4.0W/kg以上、ブロンズは少なくとも3.0W/kgが必要と考えられる。
ヤビツタイムの2倍が富士ヒルのタイムになると言われているが、計算上どうだろうか。
表3 ヤビツとMt.富士ヒルクライムのタイム換算表
推定PWR | ヤビツタイム | 富士ヒルタイム |
5.0 | 31:20 | 1:03:25 |
4.5 | 34:00 | 1:09:00 |
4.0 | 37:30 | 1:15:50 |
3.5 | 41:55 | 1:24:40 |
3.0 | 48:00 | 1:37:20 |
2.5 | 57:00 | 1:55:30 |
2.0 | 1:10:30 | 2:24:00 |
出所:筆者作成。「ヤビツ峠のヒルクライム偏差値」のデータよりPWR(60分)を推定している。
ヤビツ峠(名古木スタート)は距離11.7km、獲得標高659mなのに対し、富士ヒルは距離24km、獲得標高1255mとおおむね2倍となっている。タイムも約2倍となった。ブロンズを取るためにはヤビツ峠45分がラインとなるだろう。
次のエントリでは、得られた結果から貧脚および剛脚の定義を考える。
→ 「ホビーレーサーの剛脚ピラミッド」
関連記事
「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍のマウンテンサイクリング偏差値」
*********************************************************************
(1)基本統計量
変数 | 平均 | 最小値 | 中央値 | 最大値 | 最頻値 | 標準偏差 |
タイム | 1:46:24 | 1:01:30 | 1:41:24 | 4:17:06 | 1:27:48 | 25:30 |
60分PWR(W/kg) | 2.90 | 1.18 | 2.87 | 5.25 | 3.36 | 0.68 |
平均パワーとはレース時間中のパワーである。タイムの算出にあたっては、平均時速の小数点第2位を切り捨てた数値が基になっている。そのため若干の誤差が生じている。
(2)PWRの推計方法は「ヒルクライム計算」というサイトで、参加者全員を体重を63kg、機材等を9kgとみなし、タイムからPWRを求める。ここで算出されたものから60分PWRとなるように補正をかけた。
60分FTPが時間の経過とともにどのくらい逓減していくかという先行研究を見つけられなかったので、1時間につき60分FTPが5%ずつ減少するという仮定を用いた。例えば、完走タイムが1時間30分の人は、レース時間でのPWRから2.5%ほど上乗せした数値が60分PWRとなっている。
ちなみにじてトレにはCP180分がCP60分の92.5%という記述があったので参考にしている。以上のように2重3重にズレが生じているかもしれない、極めてラフな推計ではある。
表3 富士ヒル偏差値詳細(2014年基準)
偏差値 | タイム | 推定PWR(60分) | 備考 |
80 | 61:30 | 5.23 | 上位0.14%程度 |
79 | 62:18 | 5.14 | |
78 | 63:12 | 5.04 | |
77 | 64.00 | 4.95 | |
76 | 64:48 | 4.86 | ゴールド65分 |
75 | 65:48 | 4.79 | |
74 | 66:42 | 4.69 | |
73 | 67:42 | 4.60 | |
72 | 68:36 | 4.52 | |
71 | 69:42 | 4.43 | |
70 | 70:42 | 4.36 | |
69 | 71:48 | 4.28 | |
68 | 72:54 | 4.19 | |
67 | 74:00 | 4.11 | |
66 | 75.12 | 4.03 | シルバー75分 |
65 | 76.24 | 3.96 | |
64 | 77:48 | 3.87 | |
63 | 79:06 | 3.79 | |
62 | 80:24 | 3.73 | |
61 | 81:48 | 3.65 | |
60 | 83.12 | 3.58 | |
59 | 84:42 | 3.50 | |
58 | 86:24 | 3.42 | |
57 | 88:00 | 3.35 | |
56 | 89:36 | 3.28 | ブロンズ90分 |
55 | 91:18 | 3.21 | |
54 | 93:06 | 3.14 | |
53 | 94.54 | 3.07 | |
52 | 97:00 | 3.00 | |
51 | 99:06 | 2.93 | |
50 | 101:12 | 2.88 | |
49 | 103:24 | 2.81 | |
48 | 105:36 | 2.75 | |
47 | 108:06 | 2.68 | |
46 | 110:48 | 2.61 | |
45 | 113:24 | 2.55 | |
44 | 116:06 | 2.49 | |
43 | 119:00 | 2.41 | |
42 | 122:00 | 2.35 | |
41 | 125:12 | 2.29 | |
40 | 128:48 | 2.22 | |
39 | 132:30 | 2.17 | |
38 | 136:12 | 2.12 | |
37 | 140:12 | 2.05 | |
36 | 144:24 | 1.99 | |
35 | 149:12 | 1.94 | |
34 | 154:18 | 1.87 | |
33 | 159:30 | 1.81 | |
32 | 164:54 | 1.75 | |
31 | 170:48 | 1.70 | |
30 | 177:18 | 1.64 | |
29 | 184:36 | 1.58 | |
28 | 192:00 | 1.53 | 制限時間195分 |
27 | 200:00 | 1.47 | |
26 | 208:42 | 1.41 | |
25 | 218:12 | 1.37 |
出所:筆者作成
関連記事:
「Mt.富士ヒルクライムでブロンズ90分を切るための攻略法」
Stages Power購入
パワーキャルからStages Powerに乗り換えるまでさほど時間はかからなかったことを前回のエントリに記した。→「パワーキャルと心拍数ドリフト」
パワーメーターの1つであるStages Powerの購入にあたり情報収集をしたところ、DC Rainmaker氏が「Stages Power Meter In-Depth Review Update(2013年6月)」で長所と短所を次のように指摘している。
長所
・ かなり安価
・ 取り付け簡単
・ クランクの互換性に優れる
・ ケイデンス計測での加速度センサーの出来良し
・ ユーザーによるCR2032の電池交換可
・ 自動で温度補正あり
・ 軽い(20g)
短所
・ 単に左足のパワーが2倍される計測方法である
・ 左右の力配分差がパワー全体にかなり影響する恐れ(DC氏にはみられず)
・ エンドユーザー向けの校正サービスなし(上級者向け)
・ ロトールやカーボンクランクでは使えない
長所(あるいは短所)に付け加えることがあるとするなら、目立たない、になるだろうか。
DC氏のレビューによると、初期型より温度補正が改善されて良くなっているらしい。電池入れのフタから水が侵入する可能性が指摘されているので、赤いOリングを軽くグリスアップする。ショップで左クランクの交換をお願いして、ものの数分で取り付け完了。キャリブレーションもいたって簡単で、6時の方向に左クランクを向けて、ガーミンの校正ボタンを押して数秒でOKが出る。
アップデータされているファームウェアをiPhone経由でStages Powerに落とせるので、更新してみる。Stages Powerアプリをインストールし、数分で更新完了。
実走すると、加速で一瞬200-300Wになり、軽く回している時に100Wを切るので、校正は大丈夫だろう。パワーキャルみたいに500Wになったり、数値があっちこっち変動したりすることがあまりない。調子に乗って坂で踏むと300Wにはなる。新しいオモチャを手に入れた子供がするような行動を一通り行った。
出力に応じたパワーが出されて、数値がカッチリとしたものになった感覚がある。ローラーにて一定負荷で回すとやはり出力は安定したものになり、数値がより信頼のおけるものになった。
Stages PowerでFTPを測定したところ、負荷有りローラー台20分で225W (×0.95=213W) 5分全力で263Wと出た。パワーキャルより10W〜20W低く出るようだ。→「Stagesとパワーキャルの比較」
パワーキャルと心拍数ドリフト
パワーキャルを使用して1ヶ月経ったが、心拍数ドリフトの影響が気になってきた。
心拍数ドリフトについては、筑波大の鍋倉教授が「第121回 知っておきたい心拍数のドリフト現象」でわかりやすい解説をしている。
表1は3km程度の坂を5本登った時のデータである。
表1 坂5本
回数 | タイム | パワー | 心拍数 |
1 | 10:04 | 211 | 150 |
2 | 10:07 | 217 | 154 |
3 | 10:04 | 217 | 154 |
4 | 10:05 | 220 | 155 |
5 | 10:06 | 221 | 156 |
出所:筆者作成
パワーというのはパワーキャルが吐き出すパワーである。5本連続して登り、5本ともほぼ同じ条件で同程度のタイムである。 にもかかわらず、1本目と5本目ではワット数が約5%増加している。
表2は坂を10本登った時のデータである。
表2 坂10本
回数 | タイム | パワー | 心拍数 |
1 | 11:24 | 195 | 145 |
2 | 10:59 | 208 | 151 |
3 | 10:41 | 215 | 154 |
4 | 10:47 | 216 | 154 |
5 | 10:52 | 220 | 156 |
6 | 11:06 | 218 | 157 |
7 | 10:54 | 221 | 157 |
8 | 09:14 | 263 | 172 |
9 | 11:29 | 224 | 159 |
10 | 10:35 | 238 | 163 |
出所:筆者作成
6本目の後の休憩15分以外は、連続して行われた登坂である。8本目は後ろから10人位の集団に追走されたので頑張ってしまった。おかげで9本目と10本目のデータが興味深いものとなった。タイムがまちまちであるが、ここでも心拍数ドリフトと思われる現象がみられる。
1本目と9本目(黄色の行)を比較すると、おおむね同タイムであるにもかかわらずパワーが約15%も増加している。同じくタイム差がほぼない3本目と10本目(赤色の行)をみても、パワーが約10%増加している。脚が削られてくると心拍数ドリフトが顕著になってくる。
心拍基準のパワーキャルでは、高強度インターバルを行うと、回数を重ねるにしたがってパワーが水増しされると言える。ではどのような不具合が起こるかというと、インターバルを止める基準が不明瞭になる。
パワトレ本には、あるインターバルの長さで何%パワーが減少すると、それ以上練習しても効果が薄くなるといった具体的な記述がある。パワーキャルだとこのパワー減少幅の測定が極めて難しい。
もう1つの不具合は、特異的な状況におけるパワーを測定できないことである。例えば、富士山ヒルクライムの3本目では、体感90Wの出力でもパワーキャルでは180Wと表示される可能性がある。個人的には脚が売り切れた後のデータが、割と重要なのではと思っている。これに関連して、パワーキャルではエアロビック・デカップリング(有酸素持久力乖離幅)が測定できない。
予想はしていたが、より精度の高いパワーメーターを求める気持ちが沸々と沸いてきた。ただ、パワーキャルの使用によりトレーニング量や知識が飛躍的に増加したので、全くのムダではなかったと思うことにする。パワーキャルの心拍ベルトはずり落ちなくて使いやすいのも副産物か。
そしてとうとうパワーメーターを導入することになる。
GoldenCheetahのPMCにおける計算式
パワー解析ツールのGoldenCheetah(以下GC)を使い始めた。
GCで疲労度を数値で管理できるPMC(Performance Management Chart:パフォーマンス・マネージャー)という便利なチャートがあるのだが、そこに表示される数値の意味がよくわからなかった。計算式がわからなくても「じてトレ」情報等でGCを活用することはできるが、納得感を得るためにPMCの数値がどのように算出されているのか調べてみた。
出所:GoldenCheetahのPMC(表中の数字は筆者が加筆)
PMCで表示される数値は以下の3つである。
・ ATL(Acute Training Load:短期トレーニング負荷、ピンク線)
・ CTL(Chronic Training Load:長期トレーニング負荷、青線)
・ TSB(Training Stress Balance:トレーニング・ストレス・バランス、緑線)
ベースとなる数値はTSS(Training Stress Score:トレーニング・ストレス・スコア)である。
計算式は以下のようになると考えられる。『パワー・トレーニング・バイブル』等に数式が載っていたわけではないので、実際の計算式は違う可能性がある。
ATL ={前日のATL×(14−1)+本日のTSS×2}/(14+1)
CTL ={前日のCTL×(84−1)+本日のTSS×2}/(84+1)
TSB = 前日のCTL – 前日のATL
ATL及びCTLの計算式のロジックは「指数平滑移動平均線の重要性」を参照されたい。
ATLを例に取ると、具体的な計算は以下になる。
6月22日(左から3番目)において、前日のATLが8.6、本日のTSSが181とする。
ATLのNは14(日間)なので、
ATL ={8.6×(14−1) + 181×2}/(14+1)
= 31.58
となる。
翌日の6月23日は練習をしなかったことから、前日ATLが31.5、本日のTSSは0なので、
ATL ={31.5×(14−1) + 0×2}/(14+1)
= 27.3
となる。
『パワー・トレーニング・バイブル』によれば、ATL及びCTLでは指数加重移動平均が用いられるとの記述がある。指数加重移動平均では、現在に近いデータほど重み付けがなされて数値がはじき出されると理解できよう。なお、14や84は過去何日間という日数を表しているが、TSSの重み付けからすると、数値に大きく影響を及ぼすのは、ATLは過去7日間、CTLは過去42日間(6週間)であることが察せられる。
本日の練習と7日前の練習が同程度の負荷で行われたならば、本日の練習の方が現在の疲労に影響を及ぼすことは容易に理解できる。ただ、疲労の蓄積という観点からみると、7日前の練習も現在の疲労にいくらか影響をもたらしている。計算式のロジックをあたると、直近7日間または42日間だけではなく、過去全ての期間の負荷が平均値に含まれていることがわかる。
数式の背景を探ると、ATLやCTLの数値に納得感が得られる。とはいっても、日常生活の負荷やママチャリ通勤の負荷が反映されるわけではないので、数値に囚われ過ぎるのは良くないだろう。また、私の場合はパワーキャル(心拍基準)でTSSを測定していることから、データそのものに若干不確かさがある点に留意する必要がある。ちなみに、上記チャート画像の6月25日(一番右)の数値はフットサルを1時間ほどプレーした時のTSSが基になっている。
関連記事
パワーキャルでFTP計測
パワトレに興味を持ったので、パワーキャル(¥12,000)を購入した。値段を考えると精度に欠けるのは仕方がないことであり、疑似パワトレができるだけでも良しとする。
パワーキャルは心拍を基準にしているようだが、ペダリングを止めるとすぐに0Wになり、加速時には大きなパワー値を示すのが何とも不思議である。ちなみに、ハブ式、クランク式やペダル式など普通のパワーメーターは使用したことがなく、以下のFTPの比較可能性はよくわからない。
ガーミンにW、10秒平均W、30秒平均W、ラップ平均W等を表示させる。思ったよりワットが目まぐるしく変化し、一体自分が何ワットで回しているのかが見当つかない。10秒あるいは30秒平均になると安定的な数値になるので、これを目安に出力を調整することができる。
3本ローラーとTT実走を行い、違う日に20分・60分FTPを計測した。
ローラー20分:233W(95% = 220W、3.5W/kg)、5分全力:229W
実走20分:250W(95% = 237W、3.75W/kg)、5分全力:265W
実走60分:222W(3.5W/kg)、5分全力:268W
20分走をみると、ローラーより実走で数値が大きくなるのは割と良くあることみたいだが、私の場合その理由として以下が考えられる。
・ 負荷なしの3本ローラーだとケイデンス常用域(85-100)を超える
・ 屋外の方が気持ち良く走れるため、よりハードに追い込める
・ 農家の軽トラペースカーやバスが入ることがある(遅くなる要因でもある)
・ 実走ではダンシングできる
・ 実走において全力走と20分走の間隔が空いた
パワーキャル由来ではなく、その他の要因が大きいと思われる。屋内か屋外かという気分の違いやペースカーなどは、コントロールの範囲外なので無視する。
3本ローラーを全力近くで回すと、アウターロー(50-12)でもケイデンスが105rpm以上になり、私にとって不自然なケイデンスとなる。回転力のなさはローラーの5分全力で顕著に表れている。というか全力で漕げていない。よってローラーに負荷装置を付ければ、ローラー台でのトレーニング指標として最適なFTPが求められる可能性がある。こうして欲しい物品がまた1つ増えてしまう。
実走後にたい焼きを買いに行ったのだが、待ち時間にストレッチをしていたらパワーが変動していた。変動するのはいいとして、たい焼き待ち6分間の平均ラップパワーが102Wとあり得ない数値が計測された。どうも立ち上がる時に極端に高い値が出るようだ。
関連記事:パワーキャルと心拍数ドリフト、Stages Power購入
result(20分TT実走の日)
55.6km、500m↑
2:31(2:14【89%】)
22.1km/h(24.8km/h)
129bpm、155W(NP199W)、188TSS
富士山トリプルクライム<後半>
富士山の西を南下するルートでは、牧場や草原の風景が見所である。下りきった後の富士宮ファミマで補給と長めの休憩を取る。脚を残したつもりだったが、すでにだいぶ消耗している。脚だけでなく腰にもきているのが辛いところ。ヒルクライムを激しく行うとだいたい腰が痛くなる。
篠坂の自販機でボトル2本を満タンにする。以後、スカイラインの5合目まで水分は補給できない。太陽がじりじりと照りつけておりガーミン温度計は25度を表示しているが、富士山は相変わらず雲に覆われている。
スカイラインも以前登ったことはあるが、6〜8%の坂が延々と続くといった印象で脚を休めるところが余りない。スバルラインと違って交通量は少ないが、下りでもアクセルを踏んでいる気合いの入った車を見かける。一方、こちらは脚が売り切れてきたのか「5合目まで行かなくてもいいんじゃないの?」といった悪魔の囁きが聞こえてくる。
駐車場で1回ストレッチを入れ、何とかスカイラインの料金所っぽいところまでくる。脚を溜めたつもりだったがもうスカスカだ。これがトリプルクライムの怖さか。でも残りヤビツ1.5本分だと思えば登れるだろう。
標高2000mを超えると、ちょっと踏んだだけで心拍が150に達する。耳の裏から脈が聞こえる。膝の上、太もも、腰が痛い。200m置きに出てくる距離表示を頼りに這うように登る。篠坂から4時間、ヘロヘロで5合目に到着する。手持ちのおにぎりを食べたら補給食が尽きた。時刻は18:30。夕焼けの綺麗さは格別なものがある。
だが寒い。5合目の気温は9度。長袖インナー、半袖ジャージ、サイクルベスト、薄手ウインドブレーカーを重ね着して下ろうとしたが、かなり寒い。さらに雨具を装着した。雨具がなければどうなっていたんだろうか?
水ヶ塚駐車場を過ぎる頃にはすっかり暗くなり、路面がだんだんウェットになってきた。気を付けねば。下るにつれて霧が濃くなり、ヘルメットライトの光が反射して視界の半分が真っ白になる。ヘルメットライトを消し前照灯のみにする。しかし見えるのはサイドのラインと点線のセンターラインのみ。夢の中を走っているよう。本当に違う世界へと誘われないよう低速で下る。
道の駅すばしりに着いたのは20時過ぎ。日没時間である19時には間に合わなかった。車内の食料を食べ、近くのスーパー銭湯に入ったら眠気に襲われたので、再び車中泊。翌日の月曜4:30に起き、始業までに間に合うことを期待して出発した。
result
距離:204km
獲得標高:5380m
平均心拍:130bpm
平均cad:61rpm
富士山トリプルクライム<前半>
6月は日照時間が長いので何とかなるだろうと思い、あざみ→スバル→スカイの順に回ることにした。前日入りして道の駅すばしりにて車中泊。日の出を迎える4:30頃に出発し、日没までに戻ってこられることを期待して出発した。
過去にあざみラインは1回登ったことがあるが、何回も休憩しながら登った記憶がある。馬返し後はキツいことはわかっていたが、今回はバス亭の手前で力尽き、数百メートル押し歩きが入る。朝の5時から心拍を170超に上げて大丈夫かと思いつつ何とか登る。タイムは1時間45分。前回よりはマシだ。売店の親切な方が「お茶のが良かったかな〜?」と言いつつ水を持ってきてくれた。
あざみはダウンヒルも厄介だ。以前、極端に前輪荷重になったときにパンクしたことがあるので、プシュっと前輪の空気を抜く。この日は路面がウェットだったので、いつもより減速して下る。特にゲジゲジみたいな葉っぱとワイドなグレーチングに気を付ける。グレーチングの上では一瞬ブレーキを緩め、タイヤとグレーチングの間に摩擦が生まれないようなイメージでスッと抜ける。物理的にこの行為が正しいのかどうかはわからない。控えめなダウンヒルといいつつも、最後の直線が気持ちいいのでウン十㎞/h出してしまう。
道の駅すばしりで車に戻り、前輪に空気を入れ、あらかじめ用意してあった補給食を満載にしてスバルラインに向かう。思ったより水分が減らなかったので、コンビニに立ち寄らずスバルラインへ突入する。心拍をメディオ未満にして淡々と回す。2合目を過ぎると富士山がガスってきて時々小雨になる。3合目か4合目の駐車場に自販機があるのを確認し、料金所から2時間25分かかって5合目へ到着。
天気は悪いが修学旅行生やアジア圏の観光客が多かった。結構寒いのもあって、上に雨具を着て、下にハーフパンツ状態にした百均のレインパンツを履いて下る。雨、霧、曇り、霧、晴れといった感じで目まぐるしく天候が変化する。途中の展望台でようやく下界が見えた。
ダウンヒルは快適だったが、ビニールのハーフパンツは風圧でビキニ状態になっていたのであまり意味がなかった。レーパンと太ももの境界にハーフパンツの先を折って入れれば、もしかしたら使えるかもしれない。