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つよポタミア

自転車関係の雑記帳です。63kg

ブルベでのパワーメーターの使い方

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それは心拍計で事足りるからである。人によっては心拍計すらいらない。ではあえてパワーメーターを使用する場合、どのような使い方ができるのだろうか。走り方としてはファストランを前提としている。

 

1.練習の強度管理

もう少し速く走れれば楽だ、帰りの輪行に確実に間に合いたい、PBPで完走するのに脚力がもう少し必要だ、という人はそれなりにいると思う。例えばローラーで一定の強度を維持するために、パワーメーターはとても便利である。

 

ブルベの練習はブルベでしかできない、というのは一理ある。装備の使用感の確認やトラブル時の対処は、ブルベかそれに近いロングライドでしかできないこともある。でも脚力をアップさせる手段は、長距離の走り込みだけとは限らない。

 

ブルベで速く走るといっても、ほとんどの時間は低強度での走行となる(L1、L2、たまにL3)が、練習ではその上の強度を狙う。経験則で言えばL3、L4での走り込みが有効である。低強度でも速くはなるが、社会人が平日に行うには効率が悪い。休日にL2、L3メインで距離を稼ければなお良い。

 

以前、心拍計メインで練習していた時にSSTだと思って練習していた強度が、実はテンポ走(L3)だったことがある(これはこれで良い練習だが)。練習での強度管理ではパワメに優位性がある。走り始めの20分くらいは心拍が低く出る傾向にあるので、心拍ベースだと強度が低いケースが出てくる。

 

丁寧なペダリングでのテンポ走20分、SST10-20分、たまにタバタなどを地味に続ければ、ブルベで必要十分な脚力はついてくるはず。

 

2.ケガの予防

実はブルベはケガの発生率が高いのではないか、と思うことがある(証拠はないが)。重装備かつ低ケイデンスでグイグイ登ることが意外と多い。膝や腰に疲労が蓄積され、痛みに襲われることも少なくない。それでも漕がないと家に帰れないので、漕ぐしかない場面も多々ある。

 

パワメの良い点は、登りでの踏み過ぎがすぐわかることにある。足腰が強い人は登りで踏み倒してもあまり問題は生じないだろうが、それでも限界というものがある。ケイデンスにもよるが、L3以上の時間が長いとダメージを受けやすいという感覚がある。

 

ベテランっぽい人はこの辺をよく心得ている感じがする。道中で脚が売り切れると辛くなって安全マージンがなくなるからというだけではない。フォームが崩れて変なペダリングになり、ケガのリスクが高くなることを、嫌というほど理解しているからかもしれない。

 

3.ペーシング

望ましいペーシングというのは永遠の課題だろう。距離やその時の疲労度にもよるが、ちょうどよいパワーはL1上からL2中にあると思われる(体重×1.5-2.5倍)。

 

最初から最後まで一定パワーで走るのが速いのか、それとも最初は強めでだんだん自然に弱くなる方が速いのかは、経験的にはよくわからない。しかし『パワートレーニングバイブル』によれば、強めに入った方が結果的に速く走れるとしている。 

 

心拍ベースで合わせると自然と後者の走り方になる傾向にあるので、パワーではなく心拍一定で走る方が速くなると言える。そうするとなんだやっぱりパワメいらないじゃん、となるかもしれない。

 

ちなみにパワメと心拍の両方をモニタリングすると、異常が数値で把握できるので面白い。140拍120Wがある人にとっての普通だとする。ブルベ中に何か調子が悪いのでサイコンにふと目を落とすと、140拍80Wになっている。これは普通ではない。何らかの対処が必要と判断される。

 

経験的には、疲労感が強い時、酷暑の時、標高が高いところでの登坂時、脱水気味の時、ハンガーノック一歩手前の時に異常値が出やすい。

 

ペースを決めるのにTSSから逆算するという方法もある。全体のTSSを抑えたいから、このくらいのペースで走ろうという使い方だ。

 

土井選手が本で書いているように、TSSが400を超えるとかなりしんどくなってくる。これはレースでもブルベでも同じだと思う。300kmブルベをTSS400前後にしたい場合は、以下のようなサイトで望ましい強度が把握できる。

TSS(トレーニング・ストレス・スコア)計算機 | まさおのロードバイクブログ

【Zwift対応】30分わくわくローラーワークアウト

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集団に遭遇し、もみくちゃにされるの図。

 

以前の記事(こちら)で、Zwiftの単発ワークアウトはキツいものが多く、モノによってはやる気すら起きないことを述べた。そこで筋トレの後でも少しはやる気がでるような、30分を1単位としたローラーワークを作成した。

 

30分わくわくローラーセットリスト

全て30分、カッコ内数字はおおよそのTSS

 1. 2×4(20)

 2. カルデラ湖(22)

 3. じわ・・・じわ・・・(24)

 4. Shibafu(25)

 5. 30+30(26)

 6. SSST(29)

 7. アメリ(30)

 8. レインボーロード(30)

 9. 歯ブラシ(31)

10. 3分の1マッカーシー(32)

11. ベーコンアボカドバーガー(33)

12. クッパ城(33)

13. 赤い悪魔(34)

14. 揺さぶられっ子(34)

15. タバタ(35)

16. キャロットさん(40)

17. 富士チャレンジ(34)

18. 修善寺(48)

 

1. 2×4

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2. カルデラ

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 3. じわ・・・じわ・・・

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 4. Shibafu

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 5. 30+30

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6. SSST

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7. アメリ

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8. レインボーロード

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9. 歯ブラシ

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10. 3分の1マッカーシー

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11. ベーコンアボカドバーガー

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12. クッパ城

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13. 赤い悪魔

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14. 揺さぶられっ子

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15. タバタ

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16. キャロットさん

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17. 富士チャレンジ

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18. 修善寺(左周り)

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自転車乗りが筋トレをする理由(改)

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ロードバイクと筋トレは相性が悪いようで、そうでもない。

 

前回の記事(こちら)ではなんとなく筋トレを肯定的にとらえた。科学的な知見や専門家の意見を援用すると、持久系選手における筋トレは有用であることがわかった。自転車に乗る目的が何であれ、筋トレは役に立つ。

 

 

1.自転車乗りは筋トレ素人が多いので、他者との差をつけやすい?

#146 S&Cトレーニングが最も貢献できる競技は? 

Ph.Dの河森氏によると、ラグビーなどのパワー系競技の選手が筋トレに積極的なのは当然だが、自転車などの持久系競技では筋トレに理解のある持久系選手が少ないらしい。だからこそ持久系競技における筋トレは、競技力の底上げに大きく貢献できる余地があると述べている。

 

プロロード選手やハイアマチュアにとって筋トレは当たり前なのかもしれない。しかしホビーレーサーは「ホイールが〜」「フレームが〜」という会話の方が多い気がする。自分自身の肉体よりも、機材に関する知識の方が豊富な可能性がある(機材に詳しいだけの人をdisっているわけではない)。

 

2.筋トレは持久力を向上させる上でマイナスにはならない?

#280 筋トレと持久力トレを同時にやった場合のプラスとマイナスを考慮して、競技タイプ別に両方やるべきかどうかを考えてみる

 

1月末にヤビツで34分ちょうど(旧デイリーから)が計測され、自己ベストが約1分半更新された。ただ32分くらいで登れないとレースでは厳しいかなという印象。とはいえ、この冬は筋トレやフットサル多めで遊んでおり、過去2ヶ月の走行距離は平均500kmと少なめであった。経験的にも、筋トレが持久力の向上を阻害しないことが納得できる。

 

ただし、持久力トレは筋トレの効果を逓減させるとの指摘がある。

#58 【論文レビュー】持久力トレーニングとレジスタンストレーニングを両方実施するとレジスタンストレーニングの効果が薄れる

 

簡略化すると以下になる。

 

持久系トレ → 筋トレの効果↓ 【影響あり】

筋トレ → 持久系トレの効果→ 【影響なし】

 

理由の1つに体内の酵素のはたらき等が関わっている。持久系トレ(高強度インターバル含む)を行うとAMPKが、筋トレを行うとmTORCIが活性化される。持久力の改善につながるAMPKが、筋力の向上に関係するmTORCIの活性を阻害する(ハp280)。その逆はないらしい。AMPK活性については、田畑先生の本でも持久力の向上と関連づけられている(タp119)。

 

クライマー系が気になるのは体重増加であろう。筋肥大の程度は筋トレの重量とREP数次第ではある。ただ、高強度インターバルを行えば筋肥大が起こらない、というわけではなさそう。

 

タバタ週5を6週間実施した後に(これだけでも凄いが)、タバタを週3、筋トレを週3(スクワット・レッグカール12RM×4)実施したところ「被験者のジーパンが破れる“事件”が頻発」したとの報告がある(タp117)。トレイニー心理をくすぐる記述だ。そこで体重増加を避けたい場合の筋トレは、高負荷低REPにすべきとある(エp51)。

 

  

3.ロードバイク的に筋トレの効果とは何なのか?

 「#77 【論文レビュー】レジスタンストレーニングは持久系種目のラストスパートを向上させる? 

 「#234 【論文レビュー】筋力トレーニング、ストレッチ、固有受容器トレーニングはケガを予防できるか?

 

これらに付随して、レース的な観点から特に注目すべきは、VO2max強度でオールアウトする時間が延長したとの報告が複数挙げられていることである。これは初心者からアスリートまで共通している(エp50)。

 

怪我の発生率を下げるという点は、そもそも私が筋トレを始めた理由とその経験則から納得できる。私はあまり頑強ではないので、CTLが70を超えてくるあたりから脚が痛いとか腰が痛いとかの症状が出やすい。

 

筋トレをみっちり行うことによって、不具合が出るポイントを遅らせられる気がする。バイシクルクラブあたりで「冬は筋トレで速くなる!」みたいなTarzan記事がもっとあってもいいと思う。

 

 

4.筋トレで遅くなることもあるんじゃないの?

#209 ウエイトトレーニングやるとパフォーマンスが低下する可能性はある?

 

ある。筋肉がペダリング動作に使われなければ、ただの重りになることは直感的にも理解できる。Ph.D河森氏は、筋力等の競技動作への適用を「トレーニング効果の転移」という概念で紹介している。プロ選手が筋トレの後に、軽くペダリングをするとかの動画を見たことがあるかもしれない。特に根拠はないのだが、私の場合フットサルの基礎トレが、ペダリングへの「転移」に関与しているような気がする。

www.youtube.com

 

筋トレは筋トレでも、低負荷高REP(自重両脚スクワット50回とか)は意味がない(ハp219)。筋トレが持久力の向上につながらなかったと報告された研究では、負荷が低い、期間が短い(6-12週)などの指摘がなされている。高負荷で12週以上の筋トレでは持久力が向上している(エp53)。

 

 

5.何で筋トレが自転車に効くの?

#151 【論文レビュー】ストレングストレーニングがラン&自転車の持久力パフォーマンスを向上する

 

持久系競技において、いくつものメリットがあることは明らかだが、なぜ速くなるのだろうか。

 

「最大筋力が向上するとスキルの繰り返しに対して必要な相対的な力が少なくてすむことであり、そのときに要求されるエネルギーも少なくてすむ。もう1つは・・・」

 

『ハイパフォーマンスの科学』では最大筋力と相対筋力という概念が紹介されている(ハp219)。似たような記述が『エンデュランストレーニングの科学』にもある(エp53)。最大筋力が100あって常に10の筋力でペダリングをするのと、最大筋力が150あって10の筋力でペダリングをするのはどちらが楽で効率的でしょうか、という意味だろう。

 

しかしこの例えだと速くなってはいないし、ビルダー最速になるので何かの理解(速筋とか遅筋とか)が抜けている。

 

他にも自転車選手などが傷害を受けやすい腱についても記載があり、非常にためになる。筋トレを行うトラック系の選手はロードにきても選手寿命が長く、筋トレをしないロード選手は選手寿命が短い傾向にあると書かれている(ハp220)。本当かな?

 

筋トレとは関係ないけど面白いと思ったのが、上級者が4分×4、8分×4、16分×4のインターバル(いずれも最大強度)週2回を8週間行った場合、どれがLTおよびVO2maxパワーの向上に最も貢献するかという問いである(エp33)。どのメニューを行っても強くはなりそうだが・・・。

 

6.どんな筋トレをすれば良いの?

目的次第だが、科学的な知見からは高重量低REPが原則となる。

 

脚の日:

スクワット 6-10RM×5セット

ランジ 6-10RM×5セット

 

公安系トレーニーに教えてもらったメニューの一部である。フリーウェイトを前提としている。ウォームアップ以外のセット数で、6-10RM(Repetition Maximum)で調子や疲労に応じて重さを微調整しながら、1回1回オールアウトするつもりで行う。セーフティや補助がいるとなお良い。最終セットは50%1RM程度で20REPを目安に行う。脚の日は意識の高いトレーニーでも鬱々となっている場合がある。

 

これはちょっと多すぎると思われるかもしれないが、このやり方を裏付ける知見がある。石井先生によれば大腿四頭筋に十分効かせるためには、少なくとも8セットは必要とある(石p97)。セットの最後に低〜中負荷高REPで追い込むと、スタミナの養成にもなるとある。これはホリスティック法と呼ばれている(石p161)。公安系トレーニーの経験則が科学の知見と一致しているのは興味深い。

 

ただし、自転車選手は筋肥大をほどほどにしつつ、筋パワーの向上を目指したいので、もっと高負荷で低REPが望ましいのかもしれない。

 

 

7.ペダリングは片足ずつだから、片足の筋トレが良い?

#242 ニーズを無視する? | S&Cつれづれ

 

脚に重りをつけてファルカンフェイントを行えば、ファルカンのようにファルカンフェイントを繰り出せるようになるのだろうか?

 

Ph.D河森氏は、競技特異的な動作を、筋トレに持ち込むことの危うさを繰り返し指摘している。筋トレの動作は「安全に大胸筋や大腿四頭筋をトレーニングするためにベストな形態」であり、むしろ競技動作とは結びつけない方がよいと石井先生も述べている(石p234)。

 

可動域に関しても議論が分かれる部分である。自転車の良いトレーニング本でも(例:○ース・○ルディング・○ォー・○イクリスト)、自転車の乗車姿勢に近い可動域で筋トレを行うべきと主張している場合がある。自転車と同じ可動域で筋トレを行うことが、結果的にトレーニング効果をより高めるのであれば、そうすべきである。ただ、自転車に詳しいことと筋トレに詳しいことは別である。

 

ちなみにランジは片足ずつだが、これは大臀筋を効率的に鍛えるための筋トレであり、ペダリング動作と結びつけているわけではない。またランジはお尻に効くだけではなく、バランスを取る能力がアップするため、ランナーに勧められている(新p21)。

 

筋トレはあくまで筋肉のためのトレーニングである。ペダリング動作はいったん横に置き、筋トレ的に正しいとされるフォームで可動域を大きく取って行うようにしている。

 

 

8.筋トレ後のリカバリーはどうするの?

 

食事と睡眠以外で注目すべきは抗酸化物質である。ポリフェノールなどの抗酸化作用が期待される物質で、筋肉へのダメージが抑えられる(リp101)。タルトチェリージュースという飲んだこともないジュースに効果があるらしい。疼痛や炎症の程度、血中の抗酸化物質の量に有意差があったとの報告がある(ハp335)。

 

タルトチェリージュースはいくつか報告があるため、推しジュースなのだろう。論文そのものを読んでないので何とも言えないが、おそらくポリフェノールの一種であるアントシアニンが関係していると思われる。アントシアニンはブルーベリーやアサイーなどに含まれており、抗酸化作用や動脈硬化の予防が期待できる(サp111)。また筋トレ前のアントシアニン摂取により、筋疲労を抑え、回復を速めるという報告がある(有pp.6-7)。

 

ということは、リカバリードリンクとして通常入手できるのは、スーパーにあるアサイージュースということになる。しかし、アサイーの効果については今のところ明確なエビデンスがないため、今後の解明が待たれる(新p97)。

 

MSM(メチルサルフォニルメタン)は関節のケアに有効だが、炎症を抑えるだけでなく、高強度トレーニング等による免疫力の低下を抑え、体内の抗酸化物質の維持に貢献するとのこと(アpp.74-77)。iHerbでオススメMSMを確認したら売り切れていた。

 

参考文献

ア=「あの「MSM」が解決してくれるかもしれない!」『IRONMAN3月号 No.231』(2017)

エ=『エンデュランストレーニングの科学 ー持久力向上のための理論と実践』(2015)

サ=『体の悩みを解決!ずっと元気に!サプリメント健康事典』(2015)

タ=『究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング』(2015)

ハ=『ハイパフォーマンスの科学 トップアスリートをめざすトレーニングガイド』(2016)

リ=『リカバリー ーアスリートの疲労回復のためにー』(2013)

石=『石井直方の筋肉まるわかり大事典』(2008)

有=「プロアントシアニジンの機能性解明と開発」(2000)

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nogeikagaku1924/74/1/74_1_1/_pdf

 新=『〈東京大学教授〉石井直方の新・筋肉まるわかり大事典」(2015)

 

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【Zwift対応】30分わくわくローラーワークアウト

家庭におけるロードバイクに起因するトラブル

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端的に言えば、カネと時間の配分に何らかの不公平感が生じた時、トラブルになる。以下のQ1からQ9のような問答が想定される。

 

【カネ編】

 Q1「その自転車やホイールは買う必要があるの?」

プロでもないくせに速く快適に走る道具が必要なのか、という妻の疑問をまず感じなければならない。夫の趣味に対する支出よりも、子どもの教育費の方が遙かに重要である。おそらく将来的な我が国の1人あたりGDPという経済的な観点からも、妻の資源配分の方が正しい。

 

機材を買うことが多くの家庭にとって、1円の利益にもならないことを理解する必要がある(都ロードクラスAで入賞できる人を除く)。その上で何かを買う場合には、買ったことをバレないようにする、買ったとしても実際の価格の10分の1で申告する等の工夫が必要である。

 

妻の傾向として自分や他人のメイクには敏感だが、夫の機材にはそれほど敏感ではない。パワーメーターや、今までのホイールと似たものであれば、気付かれないことが多い。ただしウェアはすぐにバレる。

 

なお、財布を完全に同一にしてしまっている場合は、よほどの資産や収入がない限りご愁傷様となる。

 

 

Q2「またAmazonから何か届いているんだけど?」

自分の服やメイク用品を我慢しているのに、夫が自分の好きなものを買っていることに我慢ならないという気持ちの表れである(妻の倹約意識にもよるが)。

 

Amazonであればコンビニ留めにしておく、海外発送であれば実家等に送るなどの対処が考えられる。買ったことがわからなければ、そもそも不公平感は発生しない。

 

安全に乗るためには、消耗品を定期的に交換しなければならないことを強調するという手もある。そして交換をケチった場合のリスクを大げさに伝える(買ったものが安全性とは全く関係のないパーツであったとしても)。

 

ちなみに、妻の化粧品や家族で使うシャンプー等を同一の箱に入れて発送してもらうと、それほど不公平感が生じない。

 

 

Q3「そのサプリ高いんじゃないの?」

Q2と似ているが、安くはないであろうサプリメントを何のために摂るのか、という妻の率直な疑問がある。期待される効用や効能をその場で明快に答えられなければならない。ただし、妻が医薬品等に詳しい場合には通用しない。逆にサプリの危険性を説かれて、極力減らすように指導される場合がある。

 

海外通販等で見た目が怪しい大きなものが届いた時には、量が多いものを買うことでグラム単価を少しでも安く抑えている、という言い訳をするしかない。

 

【時間編】

Q4「休日の朝から私ばっかり家事・育児をやっているんだけど、あんたは何をやっているのよ!」

 

家事労働比率の不公平さに加え、妻が自分の時間を取れないことの不満や、夫だけ何かを楽しんでいる事に対する妬みと怒りが読み取れる。まず平謝りし、妻の気持ちを理解しつつ、帰宅後の家事労働を積極的に行う等の姿勢が必要である。

 

また帰宅時間が明確でないことに対するイライラが含まれている場合がある。事前またはライド中に、想定帰宅時刻より30分遅い時刻を伝える方法がある。チーム練が思いのほか長くなりそうな場合には、途中でためらいなく帰ることも必要だ。

 

午前のみの練習でも脚を使い切るような走りをすると、午後の買い物や子どもとの遊びに支障をきたす。それがさらに妻の不満を増幅させる。補給食を十分に用意し、帰宅寸前でもきちんと補給する。帰宅後は早めに炭水化物等を摂取し、軽めのマッサージを行うことで、速やかなリカバリーを心がける。

 

練習ルート上の評判がいいパン屋やケーキ屋をチェックしておき、美味しいもので不公平感を緩和するという手段もある。妻に予定が入った時にそちらを優先させるのは、言うまでもない。

 

 

Q5「子どもの具合が悪いのですが、貴方は何をやっているのでしょうか?」

 

Q4の不満に加え、子どもの容態より趣味に気持ちが向いている夫が信じられない、という妻の憤怒や侮蔑の感情を認識することが重要である。

 

まず子どもの具合が悪いかどうかを知っていたかが論点となる。発熱は? あれば平熱との差は? 朝の様子はどうだったか?(妻と子どもが寝ている早朝という前提で) 持病の症状なのかそうでないのか?

 

だが練習に行ってしまったという事実が変わることはないため、まず平謝りする。その後のマシンガン口撃にも落ち着いて対処することが肝要である。真剣に話を聞きながら聞き流すという高度な技術が求められるかもしれない。「傾聴受容共感、傾聴受容共感・・・」と頭の中で念仏のように唱えて凌ぐ。この時に白目を剥いてはいけない。

 

持病の場合は特に神経質になるため、今後のロングを控えめにする決断も時には必要である。土日休みの場合、土日のどちらかを早起きライドにすれば、少なくともフィジカルは維持可能である。ローラーでも何でもいいからとにかく週1回は乗るようにする。自転車が好きならば絶対にめげてはいけない。

 

 

Q6「そんなに練習にしてどうするの? プロでもないくせに」

 

何の利益にもならない活動を熱心に続ける夫がバカにしか見えない、という妻の軽蔑や嫌悪あるいは諦観を認識することが重要である。「その努力を仕事に向けたらどうなの?」と二言目には飛んでくるかもしれない。これは自転車に限った話ではない。類似表現として「何を目指しているの?」「マジでキモいんだけど?」が挙げられる。

 

返答として「面白いから」「限界に挑みたい」とシンプルに理由を述べると、意外にも納得してもらえる場合がある。呆れられるというべきか。「自分はバカなんですよ」「脳みそがスプロケでできています」という自覚も合わせて述べると効果的である。

 

健康にメリットがあることを述べる場合には、トレーニングによる最大酸素摂取量の向上は生活習慣病の予防になり、健康寿命の増進、ひいては生涯所得の増加につながる可能性があるため、人生トータルでみれば経済的メリットが生じうる、等が考えられる。熟年離婚しなければの話だが。

 

 

Q7「落車しちゃったの? 何かあったらどうするの? もう乗らないで」

 

本当に夫の身を案じている場合もあるが、妻自身の生活ベースが崩れるという不安が前提となっていることを理解する必要がある。落車王になると、身体的な要因よりも家庭的な要因で自転車生活終了となる可能性がある。

 

長期入院保障や生命保険をある程度かけていれば、短期的には金銭の心配をする必要はそこまでないはずである。しかし論点はそこではない(そこかもしれないが)。落車で健康を大きく損なった場合、妻的にはロングタームでの家庭のあるべき姿が崩れるという不安感がある。

 

落車というのは確率的に誰にでも起こることなので、確率を低くする努力をするしかない。技術の不足なのか、状況判断が甘かったのか、アドレナリンが出すぎていたのか、ペーシングが誤っていたのか、位置取りが悪かったのか、危険予知が甘かったのか、機材に不備があったのか、ふと気が抜けた時なのか、とても運が悪かったのか、などなど。

 

考えられる理由はあるはずなので、なぜ落車が起こったのかを妻に話しながら、自己解決していくという手法もある。そしてそれを改善し、可能な限り落車はしないという約束めいた発言を通して、妻の不安感を極力減少させる努力が必要である。心の底では反省していなくても、とても反省をしているポーズを取ろう。

 

 

Q8「自転車ばかり乗ってないで子どもと遊んだら?」

 

Q4と似ているが、お前が父親としてすべきことは趣味ではないだろうという批判、そして子どもの健全な成長を思っての発言であるため、対処が難しい。自転車は悪である、という妻の感情が含まれている場合もある。だから「自転車仲間に誘われたから」「チーム練を仕切っているから」というのは言い訳にならない。むしろ火に油を注ぐことになる。悪なのだから。

 

子どもが寝ている時間に練習するというのは基本だろう。応用編として、自転車で通過するスポットに子どもを連れて行くという方法がある(ドライブ等で)。サイクリングの途中で見つけた公園や峠を子どもが気に入る場合がある。

 

例えば、子どもの口から「ヤビツ峠行きたい」と発言されたとする。すると不思議なもので「ヤビツ峠=自転車=悪」という妻の認識が少し変化する。子どもにとっても面白い場所なのかしらと脳が誤作動を起こすのか、ちょっとしたことで「自転車は悪」が緩和されることがある。

 

 

【番外編】

Q9「前を走っている自転車が邪魔なんだけど?」

妻が車を運転している状況での発言である。「追い越せないのはあなたの運転が下手だから」などという事実を決して言ってはいけない

 

【まとめ】

・30万のロードバイクよりも30万の教育費

・ゾンダからシャマルはバレない

・GP4000SII、コラーゲン入りパック、パンパースは同一配送で

VAAMの真価が発揮されるのは帰宅してから

・自転車脳の夫はキモ泉くんである

・落車をしてもポキ泉くんにならない

・ヤビツ峠は悪である

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【Zwift対応】30分わくわくローラーワークアウト

ペダリング効率が上がった理由がよくわからない

ペダリング効率よりも、位置取りやコーナリング技術などの数値化できない効率の方がよほど重要ではある。が、予測していなかった実験結果というのは興味深い。

 

5月の記録(FTP測定の儀[1]と同じ)

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【5分】47.1:52.9 (157W, 176W), 177/188拍, 24℃ 

【20分】47.0:53.0 (128W, 144W), 174/185拍, 24℃

 

12月の記録

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【5分】49.3:50.7 (167W, 172W), 178/187拍, 13℃ 

【20分】49.0:51.0 (137W, 142W), 172/183拍, 14℃

 

パワーの向上はわずかである。調子の良し悪しやペーシングの巧緻、気温の違いで説明がついても不思議ではない。

 

左脚のパワーと効率が割と変化している。これは調子の善し悪しでは説明できない。パワーが上昇すれば効率も上昇するので、単純に左脚パワーが上がっただけという見方もある。しかし右脚のパワーは変化していないにも関わらず、効率は数%の上昇がみられるので、何らかの理由でペダリングが少し変化したと思われる。

 

お気に入りの選手の走りをイメージしながら回すとペダリング効率が変化することを以前の記事に書いたが、FTP測定の時にはあまりその余裕がない。

 

測定環境、測定方法、ポジション、体重等は5月と12月でほぼ同じである。大きく違うのは気温くらいだろうか。3本ローラーなのでどちらもオールシッティングである。

 

考えられる理由はいくつかある。

①経験値説

ケイデンス

③フットサル説

④マンガ説

 

①経験値説

スムーズなペダリングを意識した練習やレース経験を多少積んだことで、自然とペダリング技術が上がったというシンプルな理由。マトリックス電車や速いホビーレーサーの走りを間近で見たことが潜在意識下に刷り込まれている可能性はある。

 

ケイデンス

5月測定より12月測定のケイデンスの方がやや低い。ケイデンスが高いと効率が低く出る傾向にある。12月の方が自分に適したケイデンスで測定できた可能性がある。

 

③フットサル説

10月過ぎからロード練が減り、代わりに週3回程度のフットサル練を行っていた。特に左脚が下手すぎるので、左脚でのタッチトレーニングやキックを多めに行った。またファルカンフェイントや、実戦ではおよそ使えないであろうネイマール風のフェイントを遊びながら練習した。いずれも脚を柔らかく使わないと、素早い動作ができない。

 

④マンガ説

12月測定の数日前にマンガを20巻ほど読んだ。どんなコースレイアウトでも必ずスプリントになるというファンタジーだったが、ハコガク黒田のペダリングには共感するところがあった。筋肉を柔らかく使い、脚をムチのようにしならせるペダリングは最近のテーマである。こっちの方が脚が残る気がする。マンガだが影響が全くないとは言えない。

 

セオフェス4時間ソロ(2016)

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出所:袖ヶ浦フォレストレースウェイ公式サイトより抜粋。水たまりと落車等の痕跡(×印)を筆者加筆。

 

4時間2分, 35.7km/h, TSS288, 178W (NP213W), 87rpm, 159/180拍, 2579J (W'292kJ), 45%, 48:52, ダ率9.2%, 6-14℃

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5:15出発、5:50幸浦、6:50袖森着。道中はカフェイン控えめにする。体重はいつもと同じなら62kgのはず。林道を歩いてピットに到着。朝は2℃と寒く、メッシュインナー、UA長袖、半袖ジャージと3枚重ねをする。7:40から3周試走し、4コーナーと9コーナーの雪解け水(?)を確認。これは荒れるなと思う。晴れ予報だったのでミシュランパワーを履かせようかと思っていたが、4000Sのままで正解だった。

  

混雑するトイレを終えて8:15頃ピットに並ぶ。この時前方から数十mほど後ろ。整列時には前方から10-15列目くらいで、今日は先頭集団で何周できるかな、とこの時は安易に考えていた。

 

0時間目

スタートの号砲でスタッフカーが出発しない珍事が起こる。仕切り直しでスタートし、左端からの上がりを試みるが、位置取りが上手くいかない。「左行きま〜す」とパスはするものの先頭はまだまだ遠い。

 

加減速が厳し目で、これはまずいと思いつつ2周目へ突入。すると4コーナー手前で落車が発生しておりスローダウン。位置取りに失敗したこともあり、ここでレース終了となる。特に気落ちすることもなく、即トレーニングレースに移行する。この日は風向き等から見ても、右側の方が上がりやすかったのではと後で思う。

 

1時間目

様々なクラスの選手と混じりながら小集団でクルーズする。集団の傾向としては、登りで頑張りすぎ、下りで踏まなすぎる感がある。そのため2コーナーで前に出て、4コーナー後の登り返しでズルズル下がり、パワー変動を抑える。また「らくしゃぁ〜」「ボトルゥ〜」「まえぇ〜」「ィダリイキャース」などの発声練習を行う。

 

個人的には4コーナーよりも9コーナーのクリップ付近の水たまりが鬼門で、やはり序盤は何回か落車が起きていた。ここでペダルを回しながら良いラインでコーナリングする選手を見かけたので、なんちゃって写輪眼でコピーを試みる。それでも9コーナーは最後まで怖かったけど。

 

2時間目

2時間ソロの選手が抜けて、コース上はゆとりができる。先頭集団が中休みでペースが落ち着いていたため、記念に先頭ローテを何回か行う。誰かの飛び出しで一瞬にして集団のペースが上がり、既に脚が売り切れかけている私は瞬殺される。以後、1周のNPが200Wを下回ることが増える。

 

下ハンでの踏み付けペダリング大腿四頭筋を使いすぎたせいか、普段は痛くならない腰の後ろ(大腰筋?)に強い疲労感を覚える。練習していないことをすると大体こうなる。

 

この辺から自然と脚の合う(あるいは脚が残っていない選手同士で)協調し始める。が、疲れてくるとちょっとした踏み方の違いやテクニックの差が顕著になり、いとも簡単に集団が分断される。なるほど瀕死の状態ではグルペットの形成もままならない。

 

3時間目

先頭集団にパスされるのは何回目だろうか。と思ったら5・6・7コーナー後のストレートにて先頭集団が落車。そんなところで落車が起こるのかと驚く。レースは何が起こるかわからない。ペースが落ちてからは腰の後ろの痛みが引いてきたが、四頭筋がやや吊りそうである。

 

残り30分くらいで灰色のジャージを着た大柄な選手が一人逃げており、いい感じで下りを踏んでいる。独走力の塊みたいな走りだ。4コーナーを無理に攻めるわけでもなく、登り返しでわずかに抑えめという調子から、単独巡航モードに入っている様子。追走集団がなかなか来ないので不思議に思った。どうやら単独逃げの選手が優勝したようだ。

 

ラスト1周だけ出力を上げ、ほぼ脚を使い切ってゴール。4時間パワーは更新したので、トレーニングとしてはかなり効いたはず。補給が若干足りない気がした。右膝や腰背部に疲労が残ったが状態は悪くない。

 

【補給】

細いスポーツようかん*2、ミニようかん*1、SOYJOY*2、ウィダー系200kcal、スポーツドリンク700ml(500mlのボトルには手をつけず)

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替え玉事件にみるFTPあるいはVo2maxに対する加齢の影響

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朝テレビを見ていたら、距離20.8km標高差1313mの「まえばし赤城山ヒルクライム」で60代の部に10代の選手が替え玉出走し、年代別で優勝したというニュースが報じられていた。タイムは1時間11分22秒で、2位に3分11秒の差を付けたとのことである。

 

モラルはともかくとして、10代の上位選手と60代の上位選手の有酸素能力の差はいかほどなのか。年を取れば運動能力が低下するのは普通である。では加齢に伴って何がどれくらいの割合で低下するのだろうか。

 

FTPがVo2max(最大酸素摂取量)パワー以上にはなりえない。言い換えると、60分全力パワーが5分全力パワーを上回ることはない。

 

竹島ら(1989)によると、 アマチュアランナー40歳代から70歳代の男性40名を調査したところ、1年につきVo2maxが0.74ml/kg/min低下するとしている。

 

また信州大学のサイトによれば、アスリートの25歳時Vo2maxが約70ml/kg/分、75歳時で約42ml/kg/分であることから、1年につき0.56ml/kg/分のVo2maxが低下することになる。いずれも文献の年代が古いことから、Vo2maxと加齢の研究はやり尽くされている感はある。

 

富士ヒル上位選手の推定Vo2maxにみる加齢の影響

なぜ上位選手かというと、上位2%(あるいは各年代別のTOP10)の選手は、フィジカル(≒FTP)を上限値近くまで開発できている可能性が高い。そのためVo2maxを推計する上で好ましい。

 

2016年のMt.富士ヒルクライムのリザルトから、各年代別の上位選手のVo2maxを推定した。一般男性の基準値は鈴木(2009)のデータに基づく。

 

図1 年代別上位選手の推定平均Vo2maxにみる加齢の影響 

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出所:筆者作成。n=170

 

年代別上位選手の散布図は以下になる。各年代別の平均年齢を25、32、37、42、47、55、65、75歳としている。

 

図2 年代別上位選手の推定Vo2max分布 

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出所:筆者作成。n=170

 

y= -0.42x + 80.34

 

上は回帰式である。推計方法は下部に記載する。間接に次ぐ間接法で、恣意的な変数がいくつもあり、特に推定FTPから推定Vo2maxを求めるところがかなりいい加減である(そして何より根拠に欠ける)。直感ではVo2maxはやや上ブレしていると思う。

 

決定係数(R^2)は0.76と当てはまりが良く、Vo2maxと年齢は明らかに関係がある。当たり前だが。

 

yはVo2maxで、xは年齢である。つまり25歳から75歳までの間で、1歳ごとにVo2maxが0.42ml/kg/分低下することがわかる。ただし、年齢を区切ってみるとVo2maxの減少割合が異なってきそうだ。30歳過ぎからVo2maxが減少するとして、どのくらいの割合で減少するのか。

 

図3 30代上位から40代後半上位の推定Vo2max分布

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出所:筆者作成。n=94

 

y=  -0.28x + 75.26

 

決定係数(R^2)は0.41とやや当てはまりが悪いが、減少傾向にはある。1年当たりのVo2maxの減少は0.28ml/kg/分なので、50歳まではそれほど大きく減少しないことがわかる。では50歳以降はどうなのか。

 

図4 40代後半上位から60代上位の推定Vo2max分布

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出所:筆者作成。n=64

 

y=  -0.37x + 79.35

 

決定係数(R^2)は0.54とまずまず当てはまる。50代あたりから減少傾向が大きくなるようだ。どんなに優れたクライマーでも加齢の影響を免れることは不可避である。と言うと身も蓋もないので、トレーニングによって体力の衰えを抑制できると言うべきか。

 

加齢によるVo2maxの低下要因

淵ら(1989)によると、最大酸素摂取量の低下要因は最大心拍数と1回拍出量の減少であることを明らかにしている。

 

複数の先行研究ではアスリートレベルの人は、モチベーションの低下やそれに伴う練習量の減少など、加齢以外の要因があることを指摘している。また有酸素系の選手は筋トレをあまりしないことも、Vo2max減少の一因になるかもしれないという記述をみかけた(どの論文かは忘れてしまった)。

 

パワーウェイトレシオ(60分PWR)でみた場合

限界近くまで鍛えられた選手の場合、天井(Vo2max)が下がってくればFTPも当然下がる。以下にデータを示す。

 

25-75歳上位の減少幅:1年で0.04W、10年で0.4W/kg、50年で2.0W/kg

 

30代上位から40代後半上位の減少幅:1年で0.022W/kg、10年で0.2W/kg

40代後半上位から60代上位の減少幅:1年で0.028W/kg、10年で0.3W/kg

 

年齢層など サンプル(全体→抽出数) タイム 推定FTP(58kg) 推定PWR(60分) 推定PWR(5分) 推定Vo2max(ml/kg/分)
12-18 96→10 1:07:16 256 4.44 5.22 63.4
19-29 961→19 1:04:04 273 4.72 5.55 66.9
30-34 957→19 1:04:34 270 4.67 5.49 66.3
35-39 1008→20 1:05:34 264 4.58 5.39 65.2
40-44 1419→28 1:07:02 257 4.46 5.24 63.6
45-49 1334→27 1:08:20 251 4.35 5.12 62.3
50-59 1326→27 1:11:41 235 4.10 4.82 59.1
60-69 208→10 1:15:32 220 3.84 4.52 55.8
70- 23→10 1:42:47 153 2.72 3.20 41.6
主催者選抜 53→10 59:10 304 5.24 6.17 73.6

表1 各年代別富士ヒル上位2%または10名の推計値一覧(2016)

出所:筆者作成。n=180。データは上位選手の平均値を示している。

 

60分PWRは20代の4.72W/kgをピークに70代で2.72W/kgまで低下する。10代と70代のサンプルの元が小さいのが気になるが、70代に関して言えば、完走できること自体がフィジカルエリートであり、尊敬の念すら覚える。

 

主催者選抜はさすがという感じだが、パワーがやや上ブレしている気がする。主催者選抜の上位層はJPT選手と同等かそれ以上の登坂力を有していることから、推定Vo2maxは非現実的な数字ではない。一流ロード選手のVo2maxは75ml/kg/分と言われている(じてトレより)。

 

仮に10代上位選手が40代前半の部に出ても、必ずしも優勝できるわけではない。データ的には10代と40代前半は同等の登坂性能を有している。ただし、10代上位と60代上位を比較すると、その差は小さくない。前者の60分PWRが4.44W/kg、後者が3.84W/kgと出た。つまり、平均でみると60代上位は10代上位の約85%の有酸素能力であることがわかる。

 

結論

替え玉の10代選手は、加齢による影響を考慮して、60代の部において全力の85%以下のパワーで登れば優勝しなかった可能性が高く、今回の騒ぎには至らなかった。

  

参考文献

竹島(1989)「中高年ランナーの最大酸素摂取量と乳酸性閾値−加齢に伴う変化

信州大学サイト「加齢、性差、環境の影響

鈴木(2009)「日本人の健康関連体力指標最大酸素摂取量基準域および望ましいレベル

淵(1986)「長距離ランナーの最大酸素摂取量の加齢変化

じてトレ「パワー・メーターを使ったVo2maxの推定方法

じてトレ「Vo2maxは全身持久力を表すとても重要な指標

 

推計方法

60分PWRまでは「Mt.富士ヒルクライムヒルクライム偏差値」とほぼ同様の求め方をしている。

 

違う点は、ヒルクライム計算においてクライマーを想定して体重を58kg、バイク+装備重量を6kgにした。やや軽すぎかもしれない。もう1点はCdA(空気抵抗係数)を所与の0.4から0.33に減らしている。これは上位選手はドラフティングの影響が少なくないためである。0.33という変数が正しいかどうかは検証しようがないのが難点。

 

Vo2maxパワーはFTPから推定している。パワープロフィールの表では60分PWR4.5W/kgの行だと5分PWRが5.4W/kgとなる。この時5分PWRの約83%が60分PWRとなる。またじてトレによると鍛えられた選手はこれが80-90%に達するとの記述があり、一律にVo2maxパワーに占めるFTPの割合を85%と仮定した。これも根拠に乏しいのだが。

 

加えて、Vo2maxパワーとFTPの割合は個人差があるため、一定の変数を用いることは適切でない。なお、Vo2maxを求める係数はじてトレに引用されている数字を用いている。

 

ところで、竹島らの報告で面白いと思ったのは、トレーニング継続年数より、ランナーとしてトレーニングを始めた年齢とVo2maxの大きさに相関があるという結果である。同様の見解が『自転車競技のためのフィロソフィー』にも記載されている。

 

より若い時期からVo2maxという器を大きくしておくことの重要性が示唆されている。鉄は熱いうちに打て。でもおじさんは若い時にはもう戻れないのである。