つよポタミア

自転車関係の雑記帳です。

アナバイト事件に思う未来のドーピング

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出所:「仲裁判断JSAA-DP-2016-001号事案」

http://www.jsaa.jp/award/JSAA-DP-2016-001+a.pdf

 

トラック競技の自転車選手がドーピング陽性となったが、意図的なドーピングではないとの判断により、4年の資格停止処分が4ヶ月に短縮された。

 

上の「仲裁判断」では、ギャスパリ社のアナバイトというサプリメントに、アンドロステンジオンというステロイドホルモンが混入されていたとの検査結果が示されている。なお、選手は継続的に11種類のサプリメントを使用していたとのこと。

 

表1.X選手が使用していたサプリメント一覧

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出所:「仲裁判断」別紙3より抜粋

 

さらに興味深いのが、Jarrow FOMULAS社のQH-absorbというコエンザイムQ10に、オキサンドロロンというステロイドホルモンが検出されたことである。しかし、選手からオキサンドロロンは検出されていない。これは試合前に取っていたQH-absorbのボトルと、検体として提出したQH-absorbのボトルは違うものであったという事情がある。コエンザイムQ10という身近なサプリにもトラップが潜んでいることには驚いた。

 

ビタミン、コエンザイムQ10L-カルニチンなどのビタミン様物質は禁止されていません。しかしこれらに種々の強壮剤を配合した製剤、特に外国製品には禁止物質を含むものがあります。「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック2017年版

 

アナバイトの場合、たまたま試合直前で使用したアナバイトが少量残っており、製造番号が同じであるボトル(④2)と一緒に検体として提出している。

 

仲裁の申し立てをしていなかったら、当初の決定である4年間の資格停止処分のままになっていたので、費用と労力をかけてでも仲裁に持っていった意味は大いにあったと言える。

 

 

そして、本件ANAVITEを含む本件サプリメントを摂取する必要性について、申立人は、他のほとんどの選手がサプリメントを摂取していたことから申立人のみサプリメントを摂取しないという選択は採り得なかった旨供述し、(中略)、認識されるべきであったリスクの程度との関係において、申立人の「過誤の程度」は決して軽視できるものではない。「仲裁判断JSAA-DP-2016-001号事案」

 

「他のほとんどの選手が」というくだりは耳の痛いところで、勝つために効果のありそうなサプリは違法ではないのでガンガン摂取していますよ、というカルチャーが婉曲的に表現されてしまった。

 

瞬発力が必要なトラック競技での活動が主ならば、筋トレ等での追い込みやその疲労回復でサプリを常用していたことは想像に難くない。ロディオラ・ロゼアのような精神面に作用しそうなサプリもリストにあるのが興味深い。サプリがやる気スイッチになっていた可能性がある。

 

なお、アナバイトにはカリフォルニア州法によると発がん性のある物質が使用されている(二酸化クロム)。iHerbでは「その他の成分を見てゾッとしました。体感が良かっただけに残念ですがリピは絶対にやめます」というレビューが寄せられている。

 

カリフォルニア州プロポジション65

https://oehha.ca.gov/media/downloads/crnr/p65single07072017.pdf

 

他に注目すべき記録として、グーグル検索をして情報が確認できるできないの議論が本文でなされており、このあたりは現代的だなと思う。複数のブログでギャスパリ社製品のドーピング事案が確認できれば、そもそもその確認作業を怠ったとして、選手の過失を問うことができるわけである。

 

今回の判例(?)で、ギャスパリ社製のサプリで禁止物質が出たのが2例目となった。ゆえにギャスパリ社製のサプリでうっかりドーピングをしてしまいました(だから許してね)のような言い訳が今後は通用しない可能性がある。薬剤師会では次のような注意を促している。

 

海外ではラベルに表示しないままに不正に興奮薬やステロイドの医薬品成分を添加したサプリメント製品が多数流通し、そのような製品による陽性も毎年報告されているため、製造基準や製品管理の品質が不明な製品の使用は避けることが賢明です。「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック2017年版」 

 

ではサプリメントに違法薬物がどのくらいの確率で入っているのだろうか。

 

表2.サプリメントにタンパク同化ホルモンが混入されている確率 

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出所:Geyer H, Parr MK, Mareck U, Reinhart U, Schrader Y, Schänzer W. Analysis of non-hormonal nutritional supplements for anabolic-androgenic steroids results of an international study. International Journal of Sports Medicine, 2004, 25, 124-129.

 

 

薬剤師会が示唆しているように、違法薬物を製造過程におけるうっかり混入ではなく、わざと添加している説がある。添加サプリを使用した消費者は体感として効果を感じることができるかもしれないので、一部の消費者はamazonやiHerbに高評価を入れる。それが呼び水となって企業はより儲かる。検査などはサプリメント検査団体への献金や、政治献金で何とかするという手法があるので、ちゃんとしてそうな会社の不正というのは全く不思議ではない。

 

しかし微量の混入にホルモン剤としての効果があるのかは疑わしい。知り合いの薬剤師によれば、アナバイトを過剰摂取していたとしても、ステロイドホルモンの経口摂取が数マイクログラムにしかならないので、効果があるかは微妙とのことである。

 

未来のドーピング

筆者は科学に関して素人である。以下の内容はサドルの神様のお告げであると言っておく。「ドーピング=薬」というのは定番であるが、徐々に変容していくだろう。

 

人工筋肉あるいは培養筋肉

コンプレッションタイツの次の段階で、タイツそのものが伸び縮みするような機能をつける。レースではすでにアームウォーマー等の着用が認められないケースもあり、見た目にインチキがわかりやすいのが難点だ。

 

もう少し先の未来では移植技術や再生技術の発展により、培養筋肉を装備できるようになる。自転車競技では、腰回りや脚の筋肉を増やせばパフォーマンスの向上が期待出来るため、培養された人工筋肉をくっつける選手が現れる。

 

代表者ミーティングでコミセールが「こんなものが落ちていました。とても恥ずべき事です!」とハンドルの中に仕込んでいた重りをぶら下げるというのは過去のことで、坂の手前ではぎ取ったと思われる使い捨て培養筋肉をぶらぶらさせる。

 

ナノ血球

筋肉をつけても酸素が回らなければ意味がない。特定の筋肉に効率的かつ選択的に酸素を供給するナノ血球を注入することになる。発想としては血液ドーピングの延長線上にある。何らかの方法でナノ血球自身が肺を介さずに酸素を交換できるとかできないとか。太ももの表面に黒いブツブツが浮かび上がり、エラ呼吸のごとく太もも呼吸をしている脚たちが公道を駆け抜ける。

 

ゲノム編集

遺伝子をいじることで、特定のスポーツに適した人間にデザインできる未来が迫っている。筋肉や心肺機能を有酸素系(あるいは無酸素系)にステータスを振ることで、労せずしてパフォーマンスの向上を図れる。才能そのものをアップさせると言っても過言ではない。しかし、ゲノム編集で脚の筋肉を増やそうとデザインしたつもりが、なぜかアゴの筋肉が発達するという事案が発生してしまう。

 

判断ドーピング

優れた肉体を手に入れても、技術や判断・戦術がイマイチならば宝の持ち腐れである。結局、ゲームに勝つために必要なのはチームの戦術であり、個人の頭脳である。脳科学も相当の発展を遂げており、優れた選手の脳をスキャンすることで、その選手の経験値を含めた戦術眼や判断能力などをコピーできるようになる。脳の一部を電脳化するなどして、先人の脳を自分の脳に取り込めるのだ。例えば以下のクラシックな頭脳は高値で取引されている。ちなみに監督は人工知能になる。

 

ステージレースで勝利するための合理性と効率性「○ルーム」

曲芸のような下りから頭突きに負けない驚異のバランス感覚「サ○ン」

TTでのペーシングと筋肉の使い方をレクチャー「マ○ティン」

これであなたも大逃げ職人「ヴォクレー○」

アシストとして優れたコミュ力と状況判断能力「ド○チャン」

マチュアレースに勝利全日本選手権を完走する知性「タ○オカ」

 

ただし、脳がいくら優れていても神経が発達していないとかえって危険を招く場合がある。また他人の脳に頼りすぎると自己同一性が揺らぎ、特にU23には有意に悪影響を与えるということで、やはりこれも禁止されてしまう。

Zwift英会話(&レースtips)

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簡単な英会話で中学生で習うような単語がほとんどである。以下は実際に見かけたチャットを筆者が意訳したものである。

 

"front ease please. "

「先頭は緩めてね」

 

先頭が速い時のコメント。パワー指定されたイベントでリーダーからよく発せられる。

"slow down front."

"2.0W/kg MAX"

"easy rolling"

"stay with a Beacon (and Bacon which is me)."

などバリエーションは多い。

 

 

"leader?"

「リーダーは?」

 

イベントで整列している時に問いかけられる。リーダーがいないイベントでは、スタート直後に集団が分裂することが多い。スタートダッシュに備えるべし。

 

 

"great group."

「いい集団だ。」

 

一定のペースで走る集団で仲間を称え合うコメント。と同時にペースの変化を抑制する狙いがあるかもしれない。ブルベ系のイベントで淡々と走っている時に連発されることがある。応用として「うちのクラブよりもちゃんとした集団だ」などの冗談がある。

 

 

"I am out at 50km."

「50km地点で離脱する。」

 

1〜2時間淡々と走る集団で途中抜けするときのコメント。挨拶代わりのコミュニケーションである。他の仲間が"good job."などとねぎらう。2時間近く走るイベントだと、数十人いた集団がいつの間にか数人にまで減ることがある。3本ローラーだと尻的にきつい。

 

 

"don't get mad."

「まあそう怒るなよ」

 

"zpower guy"を連発していたライダーに対するコメント。パワーを盛っているライダーが同一の集団にいるのが癪に触ったのだろう。気にしても仕方のないことなんだけど。

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"hunt and pick him up."

「彼を狩って拾おうぜ!」

 

第2集団で走っている時に、第1集団から落ちてきたライダーが数十秒前にいる時のコメント。前にいるライダーが意外と粘ったりすることがあるので面白い。いかにも狩猟民族的な表現である。

 

 

"OOO is really strong. not C."

OOOはマジで強いぞ。Cなわけない。

 

4.0W/kgを平気で出し続けるライダーに対するコメントである。レースでは名前の後ろに自分のランクを表示させている人も多い。このライダーは最終周で4.5W/kgで引き始める。余りにも強いので "Shame on you!" 的なツッコミが入る。

 

なんちゃってCのライダーは1位ではなかったものの、平均パワーが高かったため、zwiftpowerでもれなくAランク認定されていた。

 

 

"settle. a half way long."

「落ち着け。まだ半分あるぞ。」

 

中盤で集団が伸びた時のコメント。短い登りではパワーが上がるため縦長になることがある。油断しているとあっさり千切れる場合があり、復帰するのに5.0W/kgを1分以上出すしかないなんてことも。

 

 

"awareness guys."

「気づきってことだろ。」

 

文脈としては、中盤のアップダウンにて「集団が分裂した」というつぶやきに対するコメントである。坂であったり他の集団が混ざったりする箇所は集団から離れやすくなるので、いち早く危機を察知することが肝要である(といった後方集団への皮肉が込められているのだろうか?)。特に中盤以降は脚にきていることがあるので、集団復帰は容易ではない。

 

 

"predators all around."

「化け物がうようよしてやがるぜ。」

 

最終周で集団が活性化し始めた時のコメントである。このコメントを打っている人が実は最強のプレデターという説も。

 

 

"thanks all. good race!"

「ありがとう。いいレースだった!」

 

1分弱を7倍前後で踏むプレデター達がゴール後にお互いを称え合う。コメントを打つのが遅いと、同じ集団だったライダーはもうすでにいなかったりする。

 

レースtips

①スタートダッシュ

②短い坂

③巡航時の上げ下げ

④勝負所のアイテム

⑤スプリント

 

①スタートダッシュ

レースにもよるが、リーダーなしのレースだとスタート直後にばらける。第1第2集団で走りたい場合はスタートダッシュが重要である。

 

アバターが速度を上げ始めるのにタイムラグがあるため、スタート数秒前に200-300Wまで挙げておき、画面がカクカクしている間の混乱を乗り切る。実業団レースと違って、前に100人いてもパワーだけですり抜けられるのはある意味楽である。

 

ただしレースによっては300Wダッシュでも第2集団以下になることがある。マリオカートロケットスタートが使えればという感じ。

 

②短い坂

ここはリアルと同じでインターバルがかかりやすい。かけるのが遅れるとじわじわ離れる。遅れると平地や下りに入った時に、体格に勝る外国人の集団に追いつくのに300Wオーバーで踏むことになる。分岐点の先にちょっとした坂がある場合も要注意だ。

 

コツとしては、坂に入る少し手前で集団の中頃から出力を上げ始める。後ろからドラフティング効果とすり抜け効果を利用しつつ前に上がり、勢いのまま集団の先頭付近をキープすると慌てなくて済む。

 

③巡航時の上げ下げ

集団内ではできるだけ一定の出力を維持する。リアルとは違って、一定のペースで走っていれば勝手に先頭に出たり引っ込んだりする。さながら熱せられたビーカーの中を対流する水のようである。

 

例えば先頭に出たときに2.5W/kgに落とし、集団から離れそうになって3.5W/kgに上げるなんてことをしていると、無駄にスタミナを消費してしまう。3.0W/kgで集団に磁石のようにくっついていられるのであれば一定出力がベターである。楽に効率よく回す練習になるし、心拍も低くなりやすい。場合によっては外国人ライダー(体重が重いであろう人)よりも巡航時のPWRが低くなることがある。

 

④勝負所のアイテム

マリオカートでは赤甲羅の使い所が勝負を分けるが、Zwiftでもアイテムの使い方が割と重要になる。上手いライダーはここぞというタイミングで羽や車などを使う傾向にある。

 

リアルでもバーチャルでも短い坂が勝負所となる場合が多い。群馬CSCだと心臓破りの坂がそれに当たる。Zwiftレースでは、最終局面の短い坂で30秒7倍を出していても集団から置いて行かれることがあり、ここで羽があったらなあと思うことがある。

 

集団から遅れてもエアロブースト等があれば何とかなる場合もある。エアロ仲間で集団を追いかけたりもする。エアロヘルメットはなかなか強力で、30秒9倍弱の子鹿スプリントでも外国人勢の10倍以上スプリントになぜか対抗できることがある。レース後に「アイテムの使い所がわかったぜ!」というコメントを書き込むライダーもちらほら。

 

大集団の後ろからロケットスタートしたい場合には、スタートと同時に車(ドラフティング効果↑)を使いつつ数十秒〜1分のフルもがきをするという手もある。ただし盛大にタレる可能性あり。

 

⑤スプリント

私の場合、もともとスプリント力がない上に、パワーに勝る外国人には勝ち目が薄いというのが率直な感想である。3本ローラーということもあるが、瞬間的に数百ワットは違う気がする。軽量級でもスプリント力のあるライダーはいるので一概には言えないが、スプリントにならないような展開を作る必要がある。

 

プロショップと人間関係と私

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Photo by chelsom tsai 

 

1.プロショップの役割

ロードバイクを買う時に2つの選択肢があるとする。量販店や通販でロードを買う場合とプロショップでロードを買う場合である。もちろんMTBやシクロという選択肢もあるが、便宜上ロードと表現する。

 

プロショップでロードを買うと、自分でも知らないうちにそこの人間関係の輪に加わる可能性がある。この辺については輪生相談で議論が展開されている。栗村氏は相談者の高校生に対して、以下のようなアドバイスをしている。

 

人間関係って、大変です。プラスの方向に働けばいいのですが、中にはそうでない場合もある。だから、ちょっと冷たいようですが、まずい方向に転がり出したときに離脱できるよう、ライトな形に留めておいたほうがいいかもしれません。 

 

高校生に対してこの回答は凄い。「いつでも離脱できるようなライトな形」というのは至言である。ではなぜ自転車のプロショップでは往々にしてそのようなことが起こり得るのであろうか?

 

プロショップに期待される役割は以下の4つがあると考えられる。

 

①自転車に関連する財・サービスの取引

②ショップの練習会における楽しさやスキルの提供(または潜在的顧客の開拓)

③顧客が集まるコミュニティ・憩いの場の提供

④顧客を中心としたチームの運営・維持管理

 

他にもあるかもしれないが、プロショップは①〜④で成り立っていると仮定する。自転車で特徴的なのは①〜④が同一の場所・メンバーで構成されやすい。あるショップの輪の中で完結することになる。ゆえに濃くなってしまう。

 

例えばフットサルでは、以下のような感じになる。

①ゼビオからの楽天

②フットサル場でのスクール・個サル

③体育館フットサルと付随する食事会

④市リーグ・県リーグのチームでの練習

 

フットサルは①〜④のサイクルにおいて、通常は異なる場所あるいはメンバーになる。

 

フットサルとは違い、自転車は機材スポーツであるがゆえ、購入からレースまでプロショップに依存しやすい環境は間違いなくある。

 

2.プロショップのカルト化

プロショップをビジネスとしてみた場合、顧客を増やしつつもその輪を維持しながら、いかにしてある価格帯の自転車を常連に買い支えてもらうか、が1つ重要なのかもしれない。

 

上記①〜④のサイクルは、常連さんをお店に通わせ続ける良い仕組みであると考えられる。前提として店主やスタッフの高い技術力、卓越したコミュニケーション能力、チームのマネジメント能力、場合によっては高い走力やスキルまで要求されるかもしれない(ここは走力・スキル・人望を兼ね備えた(?)常連さんにアウトソーシングすることも可能ではある)。

 

カルトというのは本来悪い表現である。しかしビジョナリーカンパニーだか何かの本によれば、良い会社の条件に「カルト的である」という要素があるのだという。この場合のカルト的というのは、そこの従業員らが会社やその事業に対して、何か信仰心にも似た熱い想いがあり、それが結果的に利益を生み続けることで従業員も会社もハッピー、と解釈している。全然関係ないけどカルト的な映画は面白い。

 

カルト化は自転車のプロショップにおいても重要な一側面だと思う。①〜④のサイクルで顧客にお店に対する帰属意識を高めてもらい、お店メンバーシップの重要な一員として顧客を位置付ける。顧客もまたメンバーシップの一員であることを、心のどこかで良いことだと感じる。そしてローディ的な自己重要感が芽生えた結果、ある種の雰囲気が醸成されていく。

 

これがプロショップに初めて入った時に感じる違和感ではないかと思われる。一見さんお断りまではいかない、あの空気である。

 

常連さんがお店のジャージに身を包み、足並みが揃ったバイクにまたがって仲良しグループが形成されている(私はこの光景を否定しているわけではない)。繰り返しになるが、この状況は①〜④のサイクルの全部または一部が上手く回っていることを意味する。

 

3.カルト化の問題点

近年ではSNS等で練習相手を募りやすくなったとはいえ、プロショップだと購入からレースまでという構造になり、どうしてもカルト的になりやすい。プロショップで起きがちな現象に以下のようなことがある。

 

①メンバー間に何か暗黙の了解みたいなものがある。

②地域に根ざしたムラ社会なので、粘着質になる場合がある。

③排他的な傾向が強いと、他流派との交流が歓迎されないことがある。

④メンバー内での志向の違いや恋愛感情で軋轢が生まれると面倒くさいことになる。

⑤いくつかの特定バイクが礼賛される傾向にある。

 

①〜⑤にどの程度まで違和感を感じるかで、お店に対するスタンスというのが自ずと決定されてくる。地域に根ざしたプロショップでは、様々な噂や情報が店長に集約されてしまうので、自分が知っていることは他のメンバーも当然のように知っている。輪生相談で栗村氏が何がしかの経験から「ライトな付き合い」を推奨しているのは、想像に難くない。

 

これらを自明のこととして、仲良しクラブという安住の地に身を置くのもまた良し。私はというと、家庭の都合によりショップ人間関係の重要性が相対的に低い。が、人間関係のメカニズムとその背景みたいなものについては、理解を深めるべきだろう。

 

抽象的にトラブルの火種を列挙すると、ポタ勢vsガチ勢、集団内の脚力格差、初心者と遠慮、機材の蘊蓄、OOはワシが育てた説、おじさんと女性との距離感、一見さんへの口出し、走り方と村八分、OOは敵という共通認識、チーム練の仕切り、落車と事故etc。

 

これを書いてて思い出されたのは「スウィートヒアアフター」という映画。あの映画みたいにそこまで大げさなものではないんだけど。 

 

ところでフットサルの熟練者に話を聞くと、やはり様々なプレースタイルの人とやり合うことは上達の過程において、極めて重要なことだという。

ブルベでのパワーメーターの使い方

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それは心拍計で事足りるからである。人によっては心拍計すらいらない。ではあえてパワーメーターを使用する場合、どのような使い方ができるのだろうか。走り方としてはファストランを前提としている。

 

1.練習の強度管理

もう少し速く走れれば楽だ、帰りの輪行に確実に間に合いたい、PBPで完走するのに脚力がもう少し必要だ、という人はそれなりにいると思う。例えばローラーで一定の強度を維持するために、パワーメーターはとても便利である。

 

ブルベの練習はブルベでしかできない、というのは一理ある。装備の使用感の確認やトラブル時の対処は、ブルベかそれに近いロングライドでしかできないこともある。でも脚力をアップさせる手段は、長距離の走り込みだけとは限らない。

 

ブルベで速く走るといっても、ほとんどの時間は低強度での走行となる(L1、L2、たまにL3)が、練習ではその上の強度を狙う。経験則で言えばL3、L4での走り込みが有効である。低強度でも速くはなるが、社会人が平日に行うには効率が悪い。休日にL2、L3メインで距離を稼ければなお良い。

 

以前、心拍計メインで練習していた時にSSTだと思って練習していた強度が、実はテンポ走(L3)だったことがある(これはこれで良い練習だが)。練習での強度管理ではパワメに優位性がある。走り始めの20分くらいは心拍が低く出る傾向にあるので、心拍ベースだと強度が低いケースが出てくる。

 

丁寧なペダリングでのテンポ走20分、SST10-20分、たまにタバタなどを地味に続ければ、ブルベで必要十分な脚力はついてくるはず。

 

2.ケガの予防

実はブルベはケガの発生率が高いのではないか、と思うことがある(証拠はないが)。重装備かつ低ケイデンスでグイグイ登ることが意外と多い。膝や腰に疲労が蓄積され、痛みに襲われることも少なくない。それでも漕がないと家に帰れないので、漕ぐしかない場面も多々ある。

 

パワメの良い点は、登りでの踏み過ぎがすぐわかることにある。足腰が強い人は登りで踏み倒してもあまり問題は生じないだろうが、それでも限界というものがある。ケイデンスにもよるが、L3以上の時間が長いとダメージを受けやすいという感覚がある。

 

ベテランっぽい人はこの辺をよく心得ている感じがする。道中で脚が売り切れると辛くなって安全マージンがなくなるからというだけではない。フォームが崩れて変なペダリングになり、ケガのリスクが高くなることを、嫌というほど理解しているからかもしれない。

 

3.ペーシング

望ましいペーシングというのは永遠の課題だろう。距離やその時の疲労度にもよるが、ちょうどよいパワーはL1上からL2中にあると思われる(体重×1.5-2.5倍)。

 

最初から最後まで一定パワーで走るのが速いのか、それとも最初は強めでだんだん自然に弱くなる方が速いのかは、経験的にはよくわからない。しかし『パワートレーニングバイブル』によれば、強めに入った方が結果的に速く走れるとしている。 

 

心拍ベースで合わせると自然と後者の走り方になる傾向にあるので、パワーではなく心拍一定で走る方が速くなると言える。そうするとなんだやっぱりパワメいらないじゃん、となるかもしれない。

 

ちなみにパワメと心拍の両方をモニタリングすると、異常が数値で把握できるので面白い。140拍120Wがある人にとっての普通だとする。ブルベ中に何か調子が悪いのでサイコンにふと目を落とすと、140拍80Wになっている。これは普通ではない。何らかの対処が必要と判断される。

 

経験的には、疲労感が強い時、酷暑の時、標高が高いところでの登坂時、脱水気味の時、ハンガーノック一歩手前の時に異常値が出やすい。

 

ペースを決めるのにTSSから逆算するという方法もある。全体のTSSを抑えたいから、このくらいのペースで走ろうという使い方だ。

 

土井選手が本で書いているように、TSSが400を超えるとかなりしんどくなってくる。これはレースでもブルベでも同じだと思う。例えば300kmブルベをTSS400前後にしたい場合には、以下のようなサイトで望ましい強度が把握できる。

自転車乗りが筋トレをする理由(改)

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ロードバイクと筋トレは相性が悪いようで、そうでもない。

 

前回の記事(こちら)ではなんとなく筋トレを肯定的にとらえた。科学的な知見や専門家の意見を援用すると、持久系選手における筋トレは有用であることがわかった。自転車に乗る目的が何であれ、筋トレは役に立つ。 

 

もくじ

 

1.自転車乗りは筋トレ素人が多いので、他者との差をつけやすい?

Ph.Dの河森氏によると、ラグビーなどのパワー系競技の選手が筋トレに積極的なのは当然だが、自転車などの持久系競技では筋トレに理解のある持久系選手が少ないらしい。だからこそ持久系競技における筋トレは、競技力の底上げに大きく貢献できる余地があると述べている。

 

プロロード選手やハイアマチュアにとって筋トレは当たり前なのかもしれない。しかしホビーレーサーは「ホイールが〜」「フレームが〜」という会話の方が多い気がする。自分自身の肉体よりも、機材に関する知識の方が豊富な可能性がある(機材に詳しいだけの人をdisっているわけではない)。

 

2.筋トレは持久力を向上させる上でマイナスにはならない?

 

経験的にも、筋トレが持久力の向上を阻害しないことが納得できる。ただし、持久力トレは筋トレの効果を逓減させるとの指摘がある。

 

 

簡略化すると以下になる。

 

持久系トレ → 筋トレの効果↓ 【影響あり】

筋トレ → 持久系トレの効果→ 【影響なし】

 

理由の1つに体内の酵素のはたらき等が関わっている。持久系トレ(高強度インターバル含む)を行うとAMPKが、筋トレを行うとmTORCIが活性化される。持久力の改善につながるAMPKが、筋力の向上に関係するmTORCIの活性を阻害する(ハp280)。その逆はないらしい。AMPK活性については、田畑先生の本でも持久力の向上と関連づけられている(タp119)。

 

クライマー系が気になるのは体重増加であろう。筋肥大の程度は筋トレの重量とREP数次第ではある。ただ、高強度インターバルを行えば筋肥大が起こらない、というわけではなさそう。

 

タバタ週5を6週間実施した後に(これだけでも凄いが)、タバタを週3、筋トレを週3(スクワット・レッグカール12RM×4)実施したところ「被験者のジーパンが破れる“事件”が頻発」したとの報告がある(タp117)。トレイニー心理をくすぐる記述だ。そこで体重増加を避けたい場合の筋トレは、高負荷低REPにすべきとある(エp51)。

 

  

3.ロードバイク的に筋トレの効果とは何なのか?

 

ラストスパート能力の向上については、Ronnestadら(2011)の論文が元ネタである。被引用数が半端ない。持久トレ&筋トレ群(E+S)と持久トレのみ群(Eのみ)の比較実験である。

 

筋トレ詳細はリンク先に記載あり。なぜあの4種類なのかは論文そのものに書いていないが、股関節の伸展と屈曲がメインなので、ペダリング動作的にわかる気がする。トウレイズ4RMとか足吊りそう。

 

結果、心拍数やRPE(自覚的運動強度)などがE+S群で有意に低くなり、185分サイクリング(約175W)後の5分全力走で、E+S群のパワーがEのみ群に比べて有意に増加していることが示されている(スp12)。逃げ、横風区間、急坂などの勝負所で重要になるのが5分パワーなので、5分に着目しているとのこと(スp9)。

 

とすると、ラストスパート能力もそうだけど、レース中で明暗を分ける状況下においてE+S群の方が有利だよね、と解読できる。メンタルやスキルが同程度なら、フィジカル強い方が当然優位に立てる。これはツールドおきなわを走る上で非常に重要な示唆かもしれない。出たことないけど。

 

図.185分サイクリング後の5分全力走におけるパワー

 

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出所:Ronnestad et al.(2011)より抜粋

 

上図(スp28のFigure 5)から目視で適当にワット数を推測するとこんな感じ。

 

E+S(前):370W

E+S(後):395W 約7%の増加

Eのみ(前):380W

Eのみ(後):375W 約1.5%の減少

 

パワーあり過ぎと思ったら、被験者が西洋人なので体格がいいようだ。体重平均のビフォーアフターが、E+S群で76.1kg→76.7kg(0.6kg増加)、Eのみ群で74.9kg→74.1kg(0.8kg減少)となっていた。E+S群の体重増加に関しては有意とのこと(スp22)。筋トレをすると体重の増加は避けられないようだ。

 

パワーウェイトレシオでみるとこうなる。

 

E+S(前):4.86W/kg

E+S(後):5.15W/kg 約6%の増加

Eのみ(前):5.07W/kg

Eのみ(後):5.06W/kg ほぼ同じ

 

つまり、凄く大きな差とまでは言えないが、登りでも平地でも下りでもE+S群の方が有利になるのだ、と読み取れる。サンプル数が少ないのが若干気になるものの、へぇ〜って感じ。2011年に報告されているので、われわれ一般人に情報が届くまでタイムラグがあるんだなと思う。もしこのまま観察を続け、両方の群が筋トレなしで1ヶ月経過した場合に、パフォーマンスはどうなっているのだろうか?

 

他にレース的な観点から特に注目すべきは、VO2max強度でオールアウトする時間が延長したとの報告が複数挙げられていることである。これは初心者からアスリートまで共通している(エp50)。

 

怪我しづらい体にするという点は、そもそも私が筋トレを始めた理由とその経験則から納得できる。虚弱体質の私はCTLが70を超えてくるあたりから、脚が痛いとか腰が痛いとかの症状が出やすい。

 

筋トレをみっちり行うことによって、不具合が出るポイントを遅らせられる気がする。バイシクルクラブあたりで「冬は筋トレで速くなる!」みたいなTarzan記事がもっとあってもいいと思う。

 

 

4.筋トレで遅くなることもあるんじゃないの?

 

ある。筋肉がペダリング動作に使われなければ、ただの重りになることは直感的にも理解できる。Ph.D河森氏は、筋力等の競技動作への適用を「トレーニング効果の転移」という概念で紹介している。プロ選手が筋トレの後に、軽くペダリングをするとかの動画を見たことがあるかもしれない。  

 

筋トレは筋トレでも、低負荷高REP(自重両脚スクワット50回とか)は意味がない(ハp219)。筋トレが持久力の向上につながらなかったと報告された研究では、負荷が低い、期間が短い(6-12週)などの指摘がなされている。高負荷で12週以上の筋トレでは持久力が向上している(エp53)。

 

 

5.何で筋トレが自転車に効くの?

 

持久系競技において、いくつものメリットがあることは明らかだが、なぜ速くなるのだろうか。

 

「最大筋力が向上するとスキルの繰り返しに対して必要な相対的な力が少なくてすむことであり、そのときに要求されるエネルギーも少なくてすむ。もう1つは・・・」

 

『ハイパフォーマンスの科学』では最大筋力と相対筋力という概念が紹介されている(ハp219)。似たような記述が『エンデュランストレーニングの科学』にもある(エp53)。最大筋力が100あって常に10の筋力でペダリングをするのと、最大筋力が150あって10の筋力でペダリングをするのはどちらが楽で効率的でしょうか、という意味だろう。

 

しかしこの例えだと速くなってはいないし、ビルダー最速になるので何かの理解(速筋とか遅筋とか)が抜けている。

 

他にも自転車選手などが傷害を受けやすい腱についても記載があり、非常にためになる。筋トレを行うトラック系の選手はロードにきても選手寿命が長く、筋トレをしないロード選手は選手寿命が短い傾向にあると書かれている(ハp220)。本当かな?

 

プロ選手とアマチュア選手で異なる能力の1つに、ごく短時間のパワーに違いがあると言われている(誰に?)。

 

持久力系や瞬発力系のトレーニングの種類に関わらず、速筋繊維のタイプIIX繊維が、速筋でありながら遅筋的なタイプIIA繊維に変化する(骨pp.18-19)。一方で、自転車選手において、筋トレ(16週)と持久トレをした群が持久トレのみの群よりも、タイプIIA繊維が有意に増加したことを示す報告がある(エp53)。こうした筋繊維の変化は短時間パフォーマンスの向上と関連づけられる。

 

つまり、同レベルの持久力やスキルを持つ選手達の中で、ロードレースでアタックがかかった時などに優位に立てるのは、筋トレを積極的に行っている自転車選手である可能性が示唆される(あるいは生まれつきタイプIIAの割合が高い選手)。

 

遺伝はともかく知見として重要なのは、トレーニング内容で筋繊維の割合を変化させられることにある。

 

筋トレとは関係ないけど面白いと思ったのが、上級者が4分×4、8分×4、16分×4のインターバル(いずれも最大強度)週2回を8週間行った場合、どれがLTおよびVO2maxパワーの向上に最も貢献するかという問いである(エp33)。どのメニューを行っても強くはなりそうだが・・・。

 

6.どんな筋トレをすれば良いの?

上述のRonnestadら(2011)の報告にある筋トレ内容で間違いはない。いずれにしろ科学的な知見からは高重量低REPが原則となる。

 

脚の日:

スクワット 6-10RM×5セット

ランジ 6-10RM×5セット

 

公安系トレーニーに教えてもらったメニューの一部である。フリーウェイトを前提としている。ウォームアップ以外のセット数で、6-10RM(Repetition Maximum)で調子や疲労に応じて重さを微調整しながら、1回1回オールアウトするつもりで行う。セーフティや補助がいるとなお良い。最終セットは50%1RM程度で20REPを目安に行う。脚の日は意識の高いトレーニーでも鬱々となっている場合がある。

 

これはちょっと多すぎると思われるかもしれないが、このやり方を裏付ける知見がある。石井先生によれば大腿四頭筋に十分効かせるためには、少なくとも8セットは必要とある(石p97)。セットの最後に低〜中負荷高REPで追い込むと、スタミナの養成にもなるとある。これはホリスティック法と呼ばれている(石p161)。公安系トレーニーの経験則が科学の知見と一致しているのは興味深い。

 

ただし、自転車選手は筋肥大をほどほどにしつつ、筋パワーの向上を目指したいので、もっと高負荷で低REPが望ましいのかもしれない。

 

 

7.ペダリングは片足ずつだから、片足の筋トレが良い?

  

脚に重りをつけてファルカンフェイントを行えば、ファルカンのようにファルカンフェイントを繰り出せるようになるのだろうか?

 

河森博士は、競技特異的な動作を、筋トレに持ち込むことの危うさを繰り返し指摘している。筋トレの動作は「安全に大胸筋や大腿四頭筋をトレーニングするためにベストな形態」であり、むしろ競技動作とは結びつけない方がよいと石井先生も述べている(石p234)。

 

可動域に関しても議論が分かれる部分である。自転車の良いトレーニング本でも(例:○ース・○ルディング・○ォー・○イクリスト)、自転車の乗車姿勢に近い可動域で筋トレを行うべきと主張している場合がある。自転車と同じ可動域で筋トレを行うことが、結果的にトレーニング効果をより高めるのであれば、そうすべきである。ただ、自転車に詳しいことと筋トレに詳しいことは別である。

 

ちなみにランジは片足ずつだが、これは大臀筋を効率的に鍛えるための筋トレであり、ペダリング動作と結びつけているわけではない。またランジはお尻に効くだけではなく、バランスを取る能力がアップするため、ランナーに勧められている(新p21)。

 

筋トレはあくまで筋肉のためのトレーニングである。ペダリング動作はいったん横に置き、筋トレ的に正しいとされるフォームで可動域を大きく取って行うようにしている。

 

ただし、Ronnstadらの報告にある筋トレ内容は片足トレーニングである(スクワットを除く)。片足で差し支えない種目は片足ずつの方が好ましい可能性がある。

 

 

8.筋トレ後のリカバリーはどうするの?

 

食事、睡眠、プロテイン以外で注目すべきは抗酸化物質である。ポリフェノールなどの抗酸化作用が期待される物質で、筋肉へのダメージが抑えられる(リp101)。タルトチェリージュースという飲んだこともないジュースに効果があるらしい。疼痛や炎症の程度、血中の抗酸化物質の量に有意差があったとの報告がある(ハp335)。

 

タルトチェリージュースはいくつか報告があるため、推しジュースなのだろう。論文そのものを読んでないので何とも言えないが、おそらくポリフェノールの一種であるアントシアニンが関係していると思われる。アントシアニンはブルーベリーやアサイーなどに含まれており、抗酸化作用や動脈硬化の予防が期待できる(サp111)。また筋トレ前のアントシアニン摂取により、筋疲労を抑え、回復を速めるという報告がある(有pp.6-7)。

 

ということは、リカバリードリンクとして通常入手できるのは、スーパーにあるアサイージュースということになる。しかし、アサイーの効果については今のところ明確なエビデンスがないため、今後の解明が待たれる(新p97)。

 

MSM(メチルサルフォニルメタン)は関節のケアに有効だが、炎症を抑えるだけでなく、高強度トレーニング等による免疫力の低下を抑え、体内の抗酸化物質の維持に貢献するとのこと(アpp.74-77)。iHerbでオススメMSMを確認したら売り切れていた。

 

【まとめ】

・筋トレ教団に入信しよう。

・生まれ持った才能が大事なので、筋トレをしなくても速い人は速い。

 

 

参考文献

ア=「あの「MSM」が解決してくれるかもしれない!」『IRONMAN3月号 No.231』(2017)

エ=『エンデュランストレーニングの科学 ー持久力向上のための理論と実践』(2015)

サ=『体の悩みを解決!ずっと元気に!サプリメント健康事典』(2015)

ス =「Strangth training improves 5-min all-out performance following 185min of cycling」(2011)

タ=『究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング』(2015)

ハ=『ハイパフォーマンスの科学 トップアスリートをめざすトレーニングガイド』(2016)

リ=『リカバリー ーアスリートの疲労回復のためにー』(2013)

石=『石井直方の筋肉まるわかり大事典』(2008)

有=「プロアントシアニジンの機能性解明と開発」(2000)

新=『〈東京大学教授〉石井直方の新・筋肉まるわかり大事典」(2015)

骨=「骨格筋はなぜ速筋繊維と遅筋繊維を備えているのか?」(2013)

 

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家庭におけるロードバイクに起因するトラブル

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端的に言えば、カネと時間の配分に何らかの不公平感が生じた時、トラブルになる。以下のQ1からQ9のような問答が想定される。

 

もくじ

 

 

【カネ編】

Q1「その自転車やホイールは買う必要があるの?」

プロでもないくせに速く快適に走る道具が必要なのか、という妻の疑問をまず感じなければならない。夫の趣味に対する支出よりも、子どもの教育費の方が遙かに重要である。おそらく将来的な我が国の1人あたりGDPという経済的な観点からも、妻の所得分配の方が正しい。

 

機材を買うことが多くの家庭にとって、1円の利益にもならないことを理解する必要がある(都ロードクラスAで入賞できる人を除く)。その上で何かを買う場合には、買ったことをバレないようにする、買ったとしても実際の価格の10分の1で申告する等の工夫が必要である。

 

妻の傾向として自分や他人のメイクには敏感だが、夫の機材にはそれほど敏感ではない。パワーメーターや、今までのホイールと似たものであれば、気付かれないことが多い。ただしウェアはすぐにバレる。

 

なお、財布を完全に同一にしてしまっている場合は、よほどの資産や収入がない限りご愁傷様となる。

 

 

Q2「またAmazonから何か届いているんだけど?」

自分の服やメイク用品を我慢しているのに、夫が自分の好きなものを買っていることに我慢ならないという気持ちの表れである(妻の倹約意識にもよるが)。

 

Amazonであればコンビニ留めにしておく、海外発送であれば実家等に送るなどの対処が考えられる。買ったことがわからなければ、そもそも不公平感は発生しない。

 

安全に乗るためには、消耗品を定期的に交換しなければならないことを強調するという手もある。そして交換をケチった場合のリスクを大げさに伝える(買ったものが安全性とは全く関係のないパーツであったとしても)。

 

ちなみに、妻の化粧品や家族で使うシャンプー等を同一の箱に入れて発送してもらうと、それほど不公平感が生じない。

 

 

Q3「そのサプリ高いんじゃないの?」

Q2と似ているが、安くはないであろうサプリメントを何のために摂るのか、という妻の率直な疑問がある。期待される効用や効能をその場で明快に答えられなければならない。ただし、妻が医薬品等に詳しい場合には通用しない。逆にサプリの危険性を説かれて、極力減らすように指導される場合がある。

 

海外通販等で見た目が怪しい大きなものが届いた時には、量が多いものを買うことでグラム単価を少しでも安く抑えている、という言い訳をするしかない。

 

【時間編】

Q4「休日の朝から私ばっかり家事・育児をやっているんだけど、あんたは何をやっているのよ!」

 

家事労働比率の不公平さに加え、妻が自分の時間を取れないことの不満や、夫だけ何かを楽しんでいる事に対する妬みと怒りが読み取れる。まず平謝りし、妻の気持ちを理解しつつ、帰宅後の家事労働を積極的に行う等の姿勢が必要である。

 

また帰宅時間が明確でないことに対するイライラが含まれている場合がある。事前またはライド中に、想定帰宅時刻より30分遅い時刻を伝える方法がある。チーム練が思いのほか長くなりそうな場合には、途中でためらいなく帰ることも必要だ。

 

午前のみの練習でも脚を使い切るような走りをすると、午後の買い物や子どもとの遊びに支障をきたす。それがさらに妻の不満を増幅させる。補給食を十分に用意し、帰宅寸前でもきちんと補給する。帰宅後は早めに炭水化物等を摂取し、軽めのマッサージを行うことで、速やかなリカバリーを心がける。

 

練習ルート上の評判がいいパン屋やケーキ屋をチェックしておき、美味しいもので不公平感を緩和するという手段もある。妻に予定が入った時にそちらを優先させるのは、言うまでもない。

 

 

Q5「子どもの具合が悪いのですが、貴方は何をやっているのでしょうか?」

 

Q4の不満に加え、子どもの容態より趣味に気持ちが向いている夫が信じられない、という妻の憤怒や侮蔑の感情を認識することが重要である。

 

まず子どもの具合が悪いかどうかを知っていたかが論点となる。発熱は? あれば平熱との差は? 朝の様子はどうだったか?(妻と子どもが寝ている早朝という前提で) 持病の症状なのかそうでないのか?

 

だが練習に行ってしまったという事実が変わることはないため、まず平謝りする。その後のマシンガン口撃にも落ち着いて対処することが肝要である。真剣に話を聞きながら聞き流すという高度な技術が求められるかもしれない。「傾聴受容共感、傾聴受容共感・・・」と頭の中で念仏のように唱えて凌ぐ。この時に白目を剥いてはいけない。

 

持病の場合は特に神経質になるため、今後のロングを控えめにする決断も時には必要である。土日休みの場合、土日のどちらかを早起きライドにすれば、少なくともフィジカルは維持可能である。ローラーでも何でもいいからとにかく週1回は乗るようにする。自転車が好きならば絶対にめげてはいけない。

 

 

Q6「そんなに練習にしてどうするの? プロでもないくせに」

 

何の利益にもならない活動を熱心に続ける夫がバカにしか見えない、という妻の軽蔑や嫌悪あるいは諦観を認識することが重要である。「その努力を仕事に向けたらどうなの?」と二言目には飛んでくるかもしれない。これは自転車に限った話ではない。類似表現として「何を目指しているの?」「マジでキモいんだけど?」が挙げられる。

 

返答として「面白いから」「限界に挑みたい」とシンプルに理由を述べると、意外にも納得してもらえる場合がある。呆れられるというべきか。「自分はバカなんですよ」「脳みそがスプロケでできています」という自覚を併せて述べると効果的である。

 

健康にメリットがあることを述べる場合には、トレーニングによる最大酸素摂取量の向上で糖代謝が高くなるため、糖尿病などの生活習慣病の予防になる。それは健康寿命の増進、ひいては生涯所得の増加をもたらす可能性があるため、人生トータルでみれば経済的メリットが生じうる、等の言い訳が考えられる。熟年離婚しなければの話だが。

 

 

Q7「落車しちゃったの? 何かあったらどうするの? もう乗らないで」

 

本当に夫の身を案じている場合もあるが、妻自身の生活ベースが崩れるという不安が前提となっていることを理解する必要がある。落車王になると、身体的な要因よりも家庭的な要因で自転車生活終了となる可能性がある。

 

長期入院保障や生命保険をある程度かけていれば、短期的には金銭の心配をする必要はそこまでないはずである。しかし論点はそこではない(そこかもしれないが)。落車で健康を大きく損なった場合、妻的にはロングタームでの家庭のあるべき姿が崩れるという不安感がある。

 

落車というのは確率的に誰にでも起こることなので、確率を低くする努力をするしかない。技術の不足なのか、状況判断が甘かったのか、アドレナリンが出すぎていたのか、ペーシングが誤っていたのか、位置取りが悪かったのか、危険予知が甘かったのか、機材に不備があったのか、ふと気が抜けた時なのか、とても運が悪かったのか、などなど。

 

考えられる理由はあるはずなので、なぜ落車が起こったのかを妻に話しながら、自己解決していくという手法もある。そしてそれを改善し、可能な限り落車はしないという約束めいた発言を通して、妻の不安感を極力減少させる努力が必要である。心の底では反省していなくても、とても反省をしているポーズを取ろう。

 

これは環境に依存してしまうことだが、走りに関してアドバイスをくれる経験者は貴重である(おそらく妻ではない)。私を含め、自分が下手であることになかなか気付かない。フィジカルの強さとスキルの有無は別である。レース系のイベントはぶっつけ本番でも何とかなると言えばなるが、場合によっては落車した、あるいは落車を間近で目撃したなどで怖くなり、イベントとはそれっきりになるかもしれない。

 

エンデューロだと、たまにドラゴンのように蛇行するトレインに遭遇してしまうことがある。実業団ですら下位集団ではローテが回らないなんてことも。だからといって終始1人で走るのは意味がない(トライアスロン系を除く)。経験上、先頭集団の方が列車に安定感がある。速い人で落車が少ない人はフィジカル以上に脳が違う。

 

集団走行技術を必要とするイベントに参加する場合には、真っ直ぐに走るスキルやローテーション、側方感覚をある程度身に付けてからの方が安全かつ速く走れる。他のスポーツもそうだろうが、スキル系の動作は始めは経験者に教わるのが最も効率が良い。

 

 

Q8「自転車ばかり乗ってないで子どもと遊んだら?」

 

Q4と似ているが、お前が父親としてすべきことは趣味ではないだろうという批判、そして子どもの健全な成長を思っての発言であるため、対処が難しい。自転車は悪である、という妻の感情が含まれている場合もある。だから「自転車仲間に誘われたから」「チーム練を仕切っているから」というのは言い訳にならない。むしろ火に油を注ぐことになる。悪なのだから。

 

子どもが寝ている時間に練習するというのは基本だろう。応用編として、自転車で通過するスポットに子どもを連れて行くという方法がある(ドライブ等で)。サイクリングの途中で見つけた公園や峠を子どもが気に入る場合がある。

 

例えば、子どもの口から「ヤビツ峠行きたい」と発言されたとする。すると不思議なもので「ヤビツ峠=自転車=悪」という妻の認識が少し変化する。子どもにとっても面白い場所なのかしらと脳が誤作動を起こすのか、ちょっとしたことで「自転車は悪」が緩和されることがある。

 

 

【番外編】

Q9「前を走っている自転車が邪魔なんだけど?」

妻が車を運転している状況での発言である。「追い越せないのはあなたの運転が下手だから」などという事実を決して言ってはいけない

 

【まとめ】

・30万のロードバイクよりも30万の教育費

・ゾンダからシャマルはバレない

・GP4000SII、コラーゲン入りパック、パンパースは同一配送で

VAAMの真価が発揮されるのは帰宅してから

・止まないアタックはない

・自転車脳の夫はキモ泉くんである

・落車をしてもポキ泉くんにならない

・ヤビツ峠は悪である

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替え玉事件にみるFTPあるいはVo2maxに対する加齢の影響

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朝テレビを見ていたら、距離20.8km標高差1313mの「まえばし赤城山ヒルクライム」で60代の部に10代の選手が替え玉出走し、年代別で優勝したというニュースが報じられていた。タイムは1時間11分22秒で、2位に3分11秒の差を付けたとのことである。

 

モラルはともかくとして、10代の上位選手と60代の上位選手の有酸素能力の差はいかほどなのか。年を取れば運動能力が低下するのは普通である。では加齢に伴って何がどれくらいの割合で低下するのだろうか。

 

FTPがVo2max(最大酸素摂取量)パワー以上にはなりえない。言い換えると、60分全力パワーが5分全力パワーを上回ることはない。

 

竹島ら(1989)によると、 アマチュアランナー40歳代から70歳代の男性40名を調査したところ、1年につきVo2maxが0.74ml/kg/min低下するとしている。

 

また信州大学のサイトによれば、アスリートの25歳時Vo2maxが約70ml/kg/分、75歳時で約42ml/kg/分であることから、1年につき0.56ml/kg/分のVo2maxが低下することになる。いずれも文献の年代が古いことから、Vo2maxと加齢の研究はやり尽くされている感はある。

 

富士ヒル上位選手の推定Vo2maxにみる加齢の影響

なぜ上位選手かというと、上位2%(あるいは各年代別のTOP10)の選手は、フィジカル(≒FTP)を上限値近くまで開発できている可能性が高い。そのためVo2maxを推計する上で好ましい。

 

2016年のMt.富士ヒルクライムのリザルトから、各年代別の上位選手のVo2maxを推定した。一般男性の基準値は鈴木(2009)のデータに基づく。

 

図1 年代別上位選手の推定平均Vo2maxにみる加齢の影響 

f:id:TofuD:20161005124021p:plain

出所:筆者作成。n=170

 

年代別上位選手の散布図は以下になる。各年代別の平均年齢を25、32、37、42、47、55、65、75歳としている。

 

図2 年代別上位選手の推定Vo2max分布 

f:id:TofuD:20161005124036p:plain

出所:筆者作成。n=170

 

y= -0.42x + 80.34

 

上は回帰式である。推計方法は下部に記載する。間接に次ぐ間接法で、恣意的な変数がいくつもあり、特に推定FTPから推定Vo2maxを求めるところがかなりいい加減である(そして何より根拠に欠ける)。直感ではVo2maxはやや上ブレしていると思う。

 

決定係数(R^2)は0.76と当てはまりが良く、Vo2maxと年齢は明らかに関係がある。当たり前だが。

 

yはVo2maxで、xは年齢である。つまり25歳から75歳までの間で、1歳ごとにVo2maxが0.42ml/kg/分低下することがわかる。ただし、年齢を区切ってみるとVo2maxの減少割合が異なってきそうだ。30歳過ぎからVo2maxが減少するとして、どのくらいの割合で減少するのか。

 

図3 30代上位から40代後半上位の推定Vo2max分布

f:id:TofuD:20161005124209p:plain

出所:筆者作成。n=94

 

y=  -0.28x + 75.26

 

決定係数(R^2)は0.41とやや当てはまりが悪いが、減少傾向にはある。1年当たりのVo2maxの減少は0.28ml/kg/分なので、50歳まではそれほど大きく減少しないことがわかる。では50歳以降はどうなのか。

 

図4 40代後半上位から60代上位の推定Vo2max分布

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出所:筆者作成。n=64

 

y=  -0.37x + 79.35

 

決定係数(R^2)は0.54とまずまず当てはまる。50代あたりから減少傾向が大きくなるようだ。どんなに優れたクライマーでも加齢の影響を免れることは不可避である。と言うと身も蓋もないので、トレーニングによって体力の衰えを抑制できると言うべきか。

 

加齢によるVo2maxの低下要因

淵ら(1989)によると、最大酸素摂取量の低下要因は最大心拍数と1回拍出量の減少であることを明らかにしている。

 

複数の先行研究ではアスリートレベルの人は、モチベーションの低下やそれに伴う練習量の減少など、加齢以外の要因があることを指摘している。また有酸素系の選手は筋トレをあまりしないことも、Vo2max減少の一因になるかもしれないという記述をみかけた(どの論文かは忘れてしまった)。

 

パワーウェイトレシオ(60分PWR)でみた場合

限界近くまで鍛えられた選手の場合、天井(Vo2max)が下がってくればFTPも当然下がる。以下にデータを示す。

 

25-75歳上位の減少幅:1年で0.04W、10年で0.4W/kg、50年で2.0W/kg

 

30代上位から40代後半上位の減少幅:1年で0.022W/kg、10年で0.2W/kg

40代後半上位から60代上位の減少幅:1年で0.028W/kg、10年で0.3W/kg

 

年齢層など サンプル(全体→抽出数) タイム 推定FTP(58kg) 推定PWR(60分) 推定PWR(5分) 推定Vo2max(ml/kg/分)
12-18 96→10 1:07:16 256 4.44 5.22 63.4
19-29 961→19 1:04:04 273 4.72 5.55 66.9
30-34 957→19 1:04:34 270 4.67 5.49 66.3
35-39 1008→20 1:05:34 264 4.58 5.39 65.2
40-44 1419→28 1:07:02 257 4.46 5.24 63.6
45-49 1334→27 1:08:20 251 4.35 5.12 62.3
50-59 1326→27 1:11:41 235 4.10 4.82 59.1
60-69 208→10 1:15:32 220 3.84 4.52 55.8
70- 23→10 1:42:47 153 2.72 3.20 41.6
主催者選抜 53→10 59:10 304 5.24 6.17 73.6

表1 各年代別富士ヒル上位2%または10名の推計値一覧(2016)

出所:筆者作成。n=180。データは上位選手の平均値を示している。

 

60分PWRは20代の4.72W/kgをピークに70代で2.72W/kgまで低下する。10代と70代のサンプルの元が小さいのが気になるが、70代に関して言えば、完走できること自体がフィジカルエリートであり、尊敬の念すら覚える。

 

主催者選抜はさすがという感じだが、パワーがやや上ブレしている気がする。主催者選抜の上位層はJPT選手と同等かそれ以上の登坂力を有していることから、推定Vo2maxは非現実的な数字ではない。一流ロード選手のVo2maxは75ml/kg/分と言われている(じてトレより)。

 

仮に10代上位選手が40代前半の部に出ても、必ずしも優勝できるわけではない。データ的には10代と40代前半は同等の登坂性能を有している。ただし、10代上位と60代上位を比較すると、その差は小さくない。前者の60分PWRが4.44W/kg、後者が3.84W/kgと出た。つまり、平均でみると60代上位は10代上位の約85%の有酸素能力であることがわかる。

 

結論

替え玉の10代選手は、加齢による影響を考慮して、60代の部において全力の85%以下のパワーで登れば優勝しなかった可能性が高く、今回の騒ぎには至らなかった。

  

参考文献

 

推計方法

60分PWRまでは「Mt.富士ヒルクライムヒルクライム偏差値」とほぼ同様の求め方をしている。

 

違う点は、ヒルクライム計算においてクライマーを想定して体重を58kg、バイク+装備重量を6kgにした。やや軽すぎかもしれない。もう1点はCdA(空気抵抗係数)を所与の0.4から0.33に減らしている。これは上位選手はドラフティングの影響が少なくないためである。0.33という変数が正しいかどうかは検証しようがないのが難点。

 

Vo2maxパワーはFTPから推定している。パワープロフィールの表では60分PWR4.5W/kgの行だと5分PWRが5.4W/kgとなる。この時5分PWRの約83%が60分PWRとなる。またじてトレによると鍛えられた選手はこれが80-90%に達するとの記述があり、一律にVo2maxパワーに占めるFTPの割合を85%と仮定した。これも根拠に乏しいのだが。

 

加えて、Vo2maxパワーとFTPの割合は個人差があるため、一定の変数を用いることは適切でない。なお、Vo2maxを求める係数はじてトレに引用されている数字を用いている。

 

ところで、竹島らの報告で面白いと思ったのは、トレーニング継続年数より、ランナーとしてトレーニングを始めた年齢とVo2maxの大きさに相関があるという結果である。同様の見解が『自転車競技のためのフィロソフィー』にも記載されている。

 

より若い時期からVo2maxという器を大きくしておくことの重要性が示唆されている。鉄は熱いうちに打て。でもおじさんは若い時にはもう戻れないのである。