Aerobic / Anaerobic TISSとは
GoldenCheetah3.3で、しれーっと追加されているTISSが気になった。
Aerobic / Anaerobic TISS(以下、Ae / An)とは、TSSを有酸素系と無酸素系に分けたもの、と理解している。
GoldenCheetah上では、Ae powerは5分以上のパワー、An powerは1分以下のパワーになっている。1分から5分の間はその中間ということだろうか。
TISS(Training Impact Scoring System)はグラフを見る限りではTSSと似たようなものである。TSSについては以前にこんな記事を書いたことがある。
Ae TISSは、TSSと値は違うもののグラフの波形が近似していることから、ワークの大半を占める有酸素系に対する負荷を示していることがわかる。
An TISSは、Ae TISSとはグラフの波形が明らかに異なる。無酸素系(厳密に言えば無酸素ではないが)に刺激が入ることではじめてグラフが変化する。
GoldenCheetahの"Anaerobic Response"では、An TISS(Short Term Stress)が、W'およびp-maxと紐付けられている。つまり、無酸素領域に刺激が入った(W'balが動いた)→An TISSが溜められると推察される。
Anaerobic TISSの動き
ユーザー側がざっくりと理解するためには、実走からのデータを確認するのがてっとり早い。下図の青い線はAn TISS(Short Term Stress)、赤い線はAn TISS(Long Term Stress)である。
出所:筆者のGoldenCheetah(①〜⑧は追記)
青い線に変化があった①から⑧の無酸素領域に入ったワークを思い出してみる。
① W'work: 33kJ, 20分240W, 1分400W
② W'work: 65kJ, 16分250W(間欠的に300-400W)
③ W'work: 62kJ, 200km(ごく一部300-500Wの信号ダッシュ)
④ W'work: 137kJ, 10km×10周(毎周250-350Wの坂インターバル)
⑤ W'work: 41kJ, 1分×5(400W前後、5分レスト、ローラー)
⑥ W'work: 151kJ, 150km(250-400Wの信号&坂インターバル)
⑦ W'work: 90kJ, 30-30秒300W×8, 1分400W以上×5, 2分350W×1
⑧ W'work: 32kJ, 120km(間欠的に300-400W)
こうしてみると高強度インターバルでじわじわ負荷をかけつつ、チーム練などの市中牽き回しの刑でガツンと無酸素系に刺激が入る傾向にある。なお、300kmブルベにおけるW'workは8kJと、ほとんど無酸素領域に入っていない。
肝心なことはAn TISSが溜まることで、どのような能力の向上が予測できるかということだが、無酸素領域のパフォーマンスに関連していることは明らかである。具体的には、W'、p-max、1分パワーや繰り返し能力、あるいは回復速度の向上に関連しているのではないだろうか。日本では競輪学校が無酸素系領域の強化に関するノウハウを蓄積しているはず。
→「自転車トレーニングの理論」CS-net